沖縄の自己決定権議論 中国・北京国際シンポ 植民地主義を考察


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 【北京市で宮城隆尋】第3回琉球・沖縄学術問題国際シンポジウム(北京大学歴史学系など主催)が12日、中国・北京市の北京大学で開幕した。中国・台湾と日本、沖縄の研究者がそれぞれの歴史的な関わりや、在沖米軍基地などを巡って沖縄の自己決定権が問われている現状について論じた。12日は、沖縄から高良鉄美琉球大学法科大学院教授、波平恒男琉球大学教授らが論文を発表した。同シンポジウムは2014年、16年に続く3回目の開催。最終日の13日は芥川賞作家の又吉栄喜さんらが登壇する。

沖縄と中国の歴史的な関わりなどについて議論する琉球・沖縄学術問題国際シンポジウムの参加者=12日、中国の北京大学

 開幕式で比屋根照夫琉球大学名誉教授は「アジアと沖縄の不幸は近代国民国家が生み出した植民地主義にある。どのように超えていくか、研究者は今後も努力を重ねなければならない」と述べた。

 張海鵬中国史学会会長(中国社会科学院教授)は「琉球が独立すべきかどうか、人民の意思を尊重せねばならない。琉球を中国が取り戻すということではない。琉球、中国、日本、米国の人民はさらに議論する余地がある」と述べた。

 高良教授は米占領下の沖縄の法体系について発表した。「米国民政府の発する布告、布令、指令の下位に琉球政府立法院の制定する立法が置かれていた」と不平等な状況を説明した。

 又吉盛清沖縄大学客員教授は「日本はアイヌ民族に対する教育政策でうまくいった点を沖縄で実施し、台湾でも実施した」と述べ、沖縄も植民地統治の対象だったことを指摘した。

 波平教授は「西洋人の見た19世紀前半の琉球王国―バジル・ホールの琉球来航を中心に」と題して発表した。