遺骨返還求め京大提訴 百按司墓持ち去り 研究者ら 今夏にも


この記事を書いた人 大森 茂夫
人類学者らが持ち出した遺骨がいまだ返還されていない百按司墓=今帰仁村

 旧帝国大学の人類学者らが昭和初期、今帰仁村の百按司(むむじゃな)墓から遺骨を持ち去った問題で、琉球民族遺骨返還研究会の松島泰勝代表(龍谷大学教授)らは18日までに、京都地裁に民事訴訟を提起することを決めた。早ければ夏にも、京都大学を相手に遺骨返還と再埋葬、謝罪を求めて提訴する。原告団と弁護団、支援団体を結成して集団訴訟とする方針だ。沖縄だけでなく関西、関東地方にも拠点を設置し、全国に支援を呼び掛ける。

 国内での先住民族による遺骨返還請求訴訟はアイヌ民族に続く提訴で、琉球人遺骨に関しては初めて。

 松島代表らはアイヌ遺骨返還訴訟の原告や弁護団などと連携し、裁判に臨む方針。

 裁判で、先住民族の権利に関する国連宣言(2007年)で遺骨返還を求める権利が保障されていることを挙げ、琉球人遺骨を返すよう求めるとみられる。

 アイヌ遺骨返還訴訟は現在までに5件が提訴され、2件で和解が成立した。遺骨が北海道大学などからアイヌ民族に返されている。

 百按司墓は第1尚氏に関係する墓所と考えられているが、持ち去られた遺骨は身元が分かっていない。そのため、裁判では原告適格(原告に返還を求める権利があるかどうか)が争われる可能性がある。松島代表らは第1尚氏の直系、関連の門中に属する人で、原告として訴訟に参加できる人を募る方針だ。

 松島代表は「県内外で支援を募りたい。裁判の過程で日本の植民地主義を問い、琉球の脱植民地化を求める」と述べている。(宮城隆尋)