宮古民謡、大胆に奏で ピアニスト下里さん 念願の地で演奏会


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【宮古島】県出身ピアニストの下里豪志さんのチャリティピアノリサイタル(下里豪志後援会主催)が12日、宮古島市のマティダ市民劇場で開かれた。宮古島で下里さんの公演が開かれるのは初めて。会場には約400人の観客が訪れ、繊細かつ大胆に奏でられる美しい旋律に酔いしれた。

繊細さと大胆さを併せ持つ技術で熱演する下里豪志さん=12日、宮古島市のマティダ市民劇場

 下里さんの祖父は宮古島市出身で、宮古での公演は自身の念願だったという。公演はグリュンフェルト「ウィーンの夜会」で始まり、ドビュッシーやショパン、リストの名曲を立て続けに感情豊かに表現した。休憩を挟んで、ウクライナの作曲家カプースチンによるジャズとクラシックを融合した楽曲なども披露した。曲の合間には下里さんがそれぞれの楽曲についてユーモアを交えて解説し、クラシックの楽しみ方を魅力的に語った。

 下里さんは「日本を離れて、民謡をとても大切なものだと感じるようになった」と話し、プログラムの最後には自身がピアノ独奏用に編曲した宮古の民謡「なりやまあやぐ」「豊年の歌」などを情感込めて演奏。会場は拍手が鳴りやまなかった。

 下里さんは「温かい島の皆さんの前で演奏できたことで、天国の祖父も喜んでいると思う」と涙を浮かべながら感謝を述べ、アンコールでは「童神」を演奏した。穏やかな音色が会場を包み、親しみのある優しい旋律に涙する観客の姿もあった。