ベトナムに「きれい」伝授 美容師の上地武さん


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ベトナム人美容師に囲まれ、技術を披露する上地武さん(左)=17日、ベトナム・ホーチミン市(提供)

 ベトナムの女性に「きれい」を届けたい―。那覇市の美容師、上地武さん(48)が今月中旬、ベトナム南部のホーチミン市を訪れ、現地の美容師にパーマやカットなど美容技術を無償で指導した。経済的に苦しい中、貪欲に学ぶ姿勢に感銘を受けた上地さん。「早く技術を身に付けて独立してほしい。ベトナムの女性が笑顔になるお手伝いができれば」と話し、継続的に支援する考えだ。

 上地さんは5月15日~18日の4日間、知人の日本人男性が経営するホーチミン市の美容院ではさみを握った。上地さんによると、ベトナム人の毛髪は真っすぐで量も多い。ただ、すいて短くまとめるなどの技術が乏しく、長髪を結んだだけの女性も多いという。
 上地さんの指導には10~20代の女性美容師が毎日、10人近く集まった。上地さんはロッドを使ったパーマやボブカットを披露。美容師らは携帯電話で動画を撮ったり、メモを取ったりしながら、「こんなにきれいになるの?」と驚いた。指導は連日、午前7時~午後9時ごろまで続いた。
 彼女らはバイクで1時間かけて通勤している。美容師の給料は安く、自宅には冷房もないという。「技術習得への貪欲さ、集中力がすごい。教えたことをすぐ身に付けた」と上地さん。帰国時には「たくさん勉強できました」「また教えに来てください」などと寄せ書きをもらった。
 15歳で美容師の見習いとなり、働きながら専門学校に通った上地さん。現在は那覇市内に2店舗、美容室を経営している。自身の体験をベトナム人美容師に重ね合わせ、「美容を通して女性はすてきになる。ベトナムの女性や美容師の役に立てるよう、今度はスタッフを連れて行きたい」。LINE(ライン)でヘアカットの動画を送るなど、今も“課外授業”を続けている。