落とした10万円戻ってきた! 匿名の届け、お礼できず 「感謝伝えたい」


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感謝の気持ちを記した用紙を手に笑顔を見せる富川安盛さん=23日、那覇市の富川金物店

 沖縄県那覇市の浮島通りで金物店を営む富川安盛さん(86)は、ことし1月に現金10万円を紛失した。「きっと見つからないだろう」と覚悟していたが、拾った人が匿名で豊見城署に届けたことで、無事に手元に戻った。富川さんは「どうしてもお礼を伝えたいが名前も住所も分からない。新聞を通してどうか伝わりますように。ありがとう」と感謝の気持ちを語った。

 富川さんは模合金の10万円が入った封筒と財布を上着のポケットに入れてタクシーに乗車。下車する際に封筒を落としてしまったのだろうと振り返る。周囲の人たちから「見つからないだろう」と言われ、富川さん自身も諦めていたが、那覇署に紛失届を提出したところ、落とし物として届けられているとの報告があった。

 礼をしようと、警察に問い合わせたが、本人が匿名を希望しているとのことで分からなかった。富川さんは「現金が見つかったこと以上に、人の温情の深さに感動の気持ちでいっぱいだ」と語り、涙をにじませた。封筒は人の優しさを思い返すための「宝物」として大切に保管しているという。