被爆ピアノ、平和の音色 ひめゆりホールで演奏会 同窓生、伴奏で校歌歌う


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ひめゆり同窓会が愛用するピアノと共演した「被爆ピアノ」(右)=1日、那覇市安里のひめゆりピースホール

 被爆ピアノ・平和コンサートが1日、沖縄県那覇市安里のひめゆりピースホールで開かれた。広島の原爆で傷つき修復された「被爆ピアノ」と、戦前の県立第一高女と師範学校女子部の卒業生でつくる「ひめゆり同窓会」の同窓生らが愛用するピアノが共演。凜とした音色が平和への願いを奏でた。

 被爆ピアノは広島県のピアノ調律師・矢川光則さんが修復。弦は1本しか替えておらず、73年前とほぼ同じ音色が聞ける。2001年の初コンサート以降、矢川さん自ら4トントラックに被爆ピアノを乗せ、全国各地で演奏会を開いている。沖縄は06年から毎年訪ねている。

 ひめゆりピースホールは、沖縄戦で多くの学徒が犠牲になった「ひめゆり学徒隊」の母校である県立第一高女と師範学校女子部があった場所。今もひめゆり同窓会の同窓生が集い、コーラスなどを続けている。

 コンサート冒頭には、被爆ピアノの伴奏で同窓生が校歌を合唱。モーツァルト「2台のピアノのためのソナタ」では、2台のピアノの音色を美しく、力強く奏で、沖縄民謡「屋嘉節」や八重山民謡「月ぬ美(かい)しゃ」では、歌三線とピアノが共演した。最後の「アベマリア」では、2台のピアノと身体表現、歌が合わさり、繊細なハーモニーを響かせた。

 矢川さんは「被爆ピアノには被爆者の魂が宿っていると思う」と語る。演奏旅行を「平和の種まき」と表現。「音が鳴らなくなるまで演奏を続けたい」と話した。

 ひめゆり同窓会東京支部会長の崎浜和子さん(89)は「(ピアノと同窓生のみんなと)一緒に校歌を歌うことができて良かった。とてもいいコンサートだった」と話した。