【台風8号】先島住民、対策急ぐ 食糧買いだめ、船係留も


この記事を書いた人 大森 茂夫
台風8号の接近に備えた買いだめで商品が売り切れ、空になった陳列棚=9日、宮古島市平良東仲宗根のサンエーショッピングタウン宮古食品館

 【宮古・八重山】非常に強い台風8号が接近している宮古・八重山地方では9日、マンゴーの収穫を早める農家や、船を固定する漁業関係者、スーパーで食料品などを買いだめする市民など、台風対策を急ぐ人たちの姿が各地で見られた。市民らは不安げな表情で「大きな被害なく、無事に通過してもらいたい」と口をそろえた。

 宮古島市平良でマンゴーを栽培するあぐな農園では、マンゴーの早摘みを行った。平良盛雄さん(60)は「熟して取れそうなものは急いで収穫している」と険しい表情。「収穫したのは現時点で4分の1ぐらい。とにかく被害が少ないことを祈るしかない」と苦笑いした。

船と岸壁をロープで強く結んで、固定する作業を行う漁業者ら=9日午前9時ごろ、石垣港

 市内のスーパーでは、飲料水やインスタントラーメンなどの陳列棚に空きが目立った。市平良のサンエーショッピングタウン宮古食品館の南風原正次店長によると、先週末から通常よりも多くの客が訪れており、乾電池やろうそくは9日までに売り切れたという。

 一方、石垣港では強い日差しの中、朝から漁業者らが船を港の両岸とロープで結んで固定したり、窓をテープで補強したりして台風対策をしていた。作業を指揮していたマグロ船・宏徳丸の船長仲田吉一さん(56)は「停電で港の製氷機が動かなくなる可能性もある。1週間は漁に出られないかもしれない」と作業を見詰めた。

 家や事業所に防風ネットを張るなどの台風対策を急ぐ市民の姿も見られた。メイクマン石垣店には9日午前から対策用品を求める客が多く訪れた。停電に備えてクーラーボックスと電池を購入しに来店した小田洋子さん(29)は、腕に抱えた息子の陽太ちゃん(0)を見詰め「停電すると熱中症が心配だ。無事に過ぎ去ってくれたら」と不安げな表情を浮かべた。