巧みな話芸 観客沸く 新作、古典を披露


社会
この記事を書いた人 琉球新報社
貫禄の話芸で感覚を引きつけた立川志の輔さん=15日、琉球新報ホール

 琉球新報社の新本社ビル落成を記念した落語家・立川志の輔師匠による独演会が15日、琉球新報ホールで開かれた。新作「バールのようなもの」と古典「井戸の茶わん」を披露し、巧みな話芸で観客を引き付けた。通算109回目の沖縄公演。志の輔さんは「多くの方が生の舞台をご覧になることと、(ホール)完成への感謝と皆さまの健康を祈願したい」と、三本締めで幕を下ろした。

 マクラでは1989年9月に永六輔さんに誘われて沖縄ジァンジァンで一人芝居をして以来、沖縄でライブを重ねるようになったエピソードを紹介した。ネット社会でも生で落語を見に来る人が増えているとし、生の体験を提供できるホールの完成を歓迎した。

 「バールのようなもの」は、「バールの“ようなもの”はバールでない」と隠居に教わった男が、妻に愛人の存在を疑われ「めかけじゃない。めかけのようなものだ」と答えて余計な怒りを買う。隠居の教えを得意げに語る男の、小憎らしくもかわいげのある様子を軽快に演じ、爆笑を生んだ。

 「井戸の茶わん」は、浪人から仏像を買い取って武家に売った正直者の男が、仏像から出てきた50両を巡って、浪人と武家の間を右往左往する話。貫禄の話芸で武士と男を演じたかと思えば、外国人のようななまりで話す滑稽なお殿様を登場させるなど、幅広い話芸で終始会場を沸かせた。