経済

新薬開発、カイコで時短 沖縄高専・伊東教授 再生医療へ新技術も

カイコの研究を行う伊東昌章教授=名護市辺野古の沖縄工業高等専門学校

 沖縄工業高等専門学校(名護市)の伊東昌章教授はカイコの抽出液を使い、薬品開発に必要なタンパク質を迅速につくる技術と、再生医療に役立つ「高分子セリシン」をつくる技術を確立した。今後、製薬会社を対象にタンパク質生産の受託事業を、再生医療の研究機関を対象に「高分子セリシン」の販売を行う。

 タンパク質は、変異や過剰分泌などでさまざまな病気の原因となることが多く、薬品開発の実験によく使われる。しかし、従来の方法では、培養した微生物から細胞を取り出し、タンパク質を抽出するため、2~7日かかっていた。

 新技術では、カイコの絹糸を作り出す器官でタンパク質が豊富な絹糸腺を使い、5時間程度で必要な種類のタンパク質をつくることができる。現在10種類のタンパク質の開発に成功し、今後はがんやアルツハイマーの研究に役立つタンパク質など、300種の生産を目指す。


カイコ

 また、カイコの生糸に含まれ、細胞の増殖促進効果がある「高分子セリシン」の開発を再生医療の支援事業として取り組んでいる。高分子セリシンは、従来は、繭から抽出していたため、増殖促進効果のない物質も混ざり、効果を十分に発揮できずにいた。新技術では、絹糸腺から高分子セリシンのみの抽出に成功し、細胞増殖の促進効果が1・7倍となった。

 同事業は2016年、県産業振興公社の「ベンチャー企業スタートアップ支援事業」に採択された。伊東教授は1月に、大学発ベンチャー「シルクルネッサンス」を立ち上げ、事業を本格化させた。10年以内に、国内で年間42億円の売り上げを目指すといい、「製薬会社が新たな薬を開発するのに、9~17年かかる。新技術によってかなり作業が効率化できる。いずれは自社で薬をつくる創薬事業までやりたい」と意気込む。



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