〈解説〉翁長知事後継指名 与党、2氏軸に人選 幹部「遺志重い」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 8日に死去した翁長雄志氏が生前、後継を指名する音声を残していたことで、県政与党の人選は仕切り直しとなった。一方、与党幹部は一様に「翁長知事の遺志は重い」との認識を示しており、今後は指名を受けた金秀グループ会長の呉屋守将氏と玉城デニー衆院議員の2氏を軸に選考作業は進む見通しだ。ただ、18日時点で、両氏は出馬に難色を示しており、状況によっては曲折も予想される。

 政党や労働組合、企業などでつくる調整会議は17日に選考委員会を開き、各団体から推薦する候補者を募ったばかりだった。17日午後から同会議の照屋大河議長を中心に3副議長と新里米吉顧問の5人が、推薦された候補者への意向確認を進めていた。そのさなか、音源の存在が明らかになった。

 与党内ではこれまで、翁長氏は亡くなる直前まで2期目の出馬に意欲を示し、後継の指名はしていないというのが共通認識だった。それだけに、今回見つかった音源の衝撃は大きい。さらに、「翁長知事の遺志を尊重すべきだ」との県内世論が湧き起こる可能性も高いと言える。

 翁長氏が残した音声について翁長雄志後援会幹部は「翁長知事の最後の政治決断だ。呉屋さんと玉城さんが後継指名を受けても驚かない。2人のいずれかでまとまる」との見通しを示す。今後、翁長氏が残した音源が知事選の人選や県内政局に影響を与えることは必至で、調整会議の手腕が一層、問われることになる。

 (吉田健一)