沖縄の感性 靴作りに イタリアで活躍、宮城さん(東村出身) 上質さ求め「挑戦続ける」


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製作途中の作品を手に、靴作りの魅力を語る宮城健吾さん。多様な道具を駆使し、一つ一つ完成させる=那覇市泉崎の琉球新報社

 こだわり抜いた革を染色し、採寸したサイズに合わせて切り、自らの手で縫製する。革靴の本場、イタリアで靴職人として活躍する東村出身の宮城健吾さん(42)は、一人一人の足にぴたりと合うオーダーメードの靴を手掛けている。赤瓦をイメージした赤みのある茶色など、沖縄で培った感性を作品にも反映。宮城さんは「靴作りは奥深く、満点にはならない。より良い物を作れるように挑戦を続けたい」と語る。

 靴への興味は物心が付いたころから。名護商業高校を卒業し、働き始めてからは給料のほとんどを靴に費やした。20歳ごろ、足になじまない革靴をカッターナイフで分解し、複雑な構造に魅了される。「もともと物を作ったり絵を描いたりするのが好き。自分で作ってみたいと思った」

 「学ぶなら本場のヨーロッパで」と、イタリア行きを決意。東京都内で新聞配達をして資金をため、2000年に妻の三重さん=東京都出身=と渡航した。靴の専門学校に入学したものの、語学力は不十分。授業内容をカセットテープに録音し、帰宅後に復習するという日々を送った。

 卒業後は著名な靴職人のもとで修行を積み、デザイナーやパターン技師としての腕を磨いた。04年に靴工房「カステッリーノ」を設立。高級ブランドの「サルヴァトーレ フェラガモ」や「トッズ」にデザイン提供するなど、実績を重ねた。

 技術だけではない。上質な革を求め、自らの足で仕入れ先を開拓した。13年ごろから良い素材を入手できるようになり、自分が納得する色彩を表現できるようになった。

 14年には沖縄で初めての個展を開催。来年夏には4回目の個展を県内で予定している。

 「色彩感覚は沖縄の影響を受けている」と語る宮城さん。全て手作業のオンリーワンの靴は発注から納品まで1年半ほどかかるが、沖縄やイタリアから注文が途切れない。忙しい中でも年に一度は帰省し、心と体をリセットしている。問い合わせは電子メールinfo@castellinoshoes.com