農業大学校、宜野座に 24年度移転、IT技術活用へ


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 沖縄県は31日、県立農業大学校(名護市大北)の移転先を宜野座村松田に決めたと発表した。現施設は老朽化と敷地の狭さなどの課題があり、県は長年移転を検討していた。移転先の宜野座村の用地は約30ヘクタールあり、交通アクセスの利便性や土地の造成費用が抑えられることが評価された。県は2019年度に基本計画を策定し、24年度の供用開始を予定する。海外輸出やIT技術の活用など最先端の農業に対応できるよう機能を強化した新施設を検討する。

 現在の農業大学校は1978年10月に設立され、築40年が経過して施設が老朽化している。12ヘクタールある敷地は狭く、農業機械の研修は東村、肉用牛の採草地は今帰仁村にあるなどスムーズな授業運営に支障があった。

 移転先になる宜野座村松田の真平原(まひらばる)土地改良区は、沖縄自動車道の宜野座インターチェンジ(IC)から車で5分ほどの場所。現在は村が土地を貸与する牧草地で、すでに整備されて土地の造成費用が他の候補地より低く抑えられることが評価された。

 新施設について、県庁で会見した富川盛武知事職務代理者(副知事)は「若い人たちが県農大を出て先端農業に取り組み、輸出も含めた展開や比較優位のある農業に貢献していただければ」と期待した。県農林水産部の島尻勝広部長は「将来に向けて、機能強化の内容を精査する必要がある。海外輸出や6次産業化、IT活用も含めて今後検討したい」と話した。

 移転の決定を受けて當眞淳宜野座村長は「農業振興や東海岸地域の活性化につながる。施設整備が円滑に進むよう、県と協力していく」と期待した。

 農業大学校の移転先は、県立農業大学校移転整備外部検討委員会が2015年3月に宜野座村松田を最適地に決定したが、財政面の調整がつかないまま約3年5カ月が経った。17年度の県有施設整備計画で、老朽化した現農業大学校が整備対象施設に位置付けられたことで移転が決まった。