関空閉鎖、沖縄県観光に痛手 旅行社は伊丹、神戸に変更検討 貨物便運休、物流も影響


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 4日から5日にかけて近畿・四国地方を中心に各地で猛威を振るった台風21号の影響で、関西空港の滑走路が水没し、復旧のめどが立っていない。重要な空港が利用できない状況に、沖縄観光や物流への影響を懸念する声が出た。

 県観光振興課によると、台風21号の影響により3日から5日にかけて、沖縄発着便は全国で60便が欠航し、影響人数は8192人となった。沖縄観光コンベンションビューローの統計によると、2016年4月から17年2月までの11カ月間に関空から沖縄へ訪れた人は58万5300人。同期間の入域数全体の6・7%を占めている。

 ジャンボツアーズでは那覇―関空便が欠航し、関西行きのツアー1件がキャンセルとなった。このほか、関空から直行便で那覇へ帰る予定だった約20人の団体客は、徳島から福岡経由で那覇に戻ることになった。担当者は「ほかにも関空を利用するツアーなどはあるが、出発日が重ならなかったため大きな影響は出なかった」と話した。

 JTB沖縄は関空発のツアーが2件キャンセルになった。担当者は「復旧するまでは伊丹空港や神戸空港に便を振り替えるなど対応を検討した」と話した。沖縄ツーリストの担当者は「詳しい情報を待っている。何件かキャンセルはあるが、ばたばたしてはいない」とした。

 元JTB沖縄社長で沖縄観光総研代表の宮島潤一氏は「7月から8月にかけて台風で沖縄旅行のキャンセルがあった。再び台風の影響を受けるのはきつい状況だ」と指摘する。ハイシーズンと比較すると9月上旬は旅行客が落ち着く時期だが、代金が安くなることもあり大学生や子ども連れの旅行者が多くなるという。宮島氏は「復旧まで1週間以上を要するようなら影響も大きくなるだろう」と予想する。

 物流面でも影響が出そうだ。那覇空港を拠点とした国際物流ハブ事業を運営するANAカーゴによると、関空発沖縄行きと、沖縄発関空行きの貨物便はそれぞれ週5便が運行しているが、当面の間は運休となる。関空発の貨物便は機械部品を多く積載しており、沖縄を経由してアジアへ運ばれるものが多い。ANAカーゴは「関空が閉鎖されている間は、別の空港を利用するルートを使って貨物を運ぶようにする」としている。