沖縄県知事選の最大争点「辺野古移設」 佐喜真氏、是非明確にせず/玉城氏、新基地阻止訴え


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17日に土砂投入を予定していた米軍キャンプ・シュワブ沿岸域の埋め立て区域「2-1」部分。土砂の投入や護岸工事は確認されなかった=17日午前、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸(小型無人機で撮影)

 30日投開票の沖縄県知事選は米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非が最大の争点となる。立候補を予定する前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)=自民、公明、維新推薦=と衆院議員の玉城デニー氏(58)は「一日も早い普天間飛行場の返還」を求める立場では一致しているものの、新基地建設の是非は、玉城氏が反対の立場を示し、佐喜真氏は是非を明確にしていない。普天間返還が合意された1996年以降、これまで5回の知事選が実施されてきた。出馬した主要な候補者は全て、返還・移設問題に関する自身の対応方針を政策として表明してきた。

 今知事選では玉城氏が新基地建設の「阻止」を掲げ、翁長県政の継承を訴えている。玉城氏は県が8月に踏み切った埋め立て承認撤回を「支持する」立場を表明。普天間飛行場の早期返還も求め、現行移設計画の見直しを日米両政府に要求するとしている。

 佐喜真氏は「原点は普天間の早期返還だ」と主張。辺野古移設については「県が埋め立て承認を撤回した。政府と県の法廷闘争も考えられ、法的にどうなるかを注視する」と述べるにとどめ、歴代候補者としては初めて辺野古移設に対する評価を避けている。

 佐喜真氏を推薦する公明党県本は、普天間飛行場の県外移設を求める立場は堅持しているものの、翁長県政下で「事業が滞っている状況を踏まえ、新しい県政をつくる方が県民のためになると判断した」(金城勉代表)とする。公明関係者によると、国会議員や東京都議らを最大動員するほか、支持母体である創価学会からも数千人規模の学会員が来県を予定するなど、過去最大級の総力戦で臨む。

 基地建設を進める自民との連携について、公明関係者は「葛藤はとっくに乗り越えている。辺野古に関する見解は交わらないが、それはそれとして選挙を戦うことはできる。候補者が『推移を見守る』と言えばいい」と説明し、佐喜真氏が辺野古の是非に触れないことは織り込み済みとの認識を示す。

 玉城陣営は佐喜真陣営と対照的に新基地建設阻止を前面に掲げている。前回知事選で構築された「オール沖縄」体制に、野党第一党の立憲民主を加えて選挙戦に臨む。野党幹部によると、政党色を排除するため、野党幹部が沖縄でそろい踏みする予定はない。

 辺野古移設の是非を巡っては、98年以降に実施された5回の知事選では革新系候補、また保守中道の一部と革新勢力が合流した「オール沖縄」系の候補は反対し、普天間飛行場の県外・国外移設や無条件閉鎖を求める政策を打ち出してきた。

 一方、自民系候補や保守系の下地幹郎氏(維新)は国政での政権交代などの流れにも影響される形で辺野古移設の「容認」、普天間の「県外・国外移設」「県民投票の実施」などの政策を訴えてきた。自民系候補は仲井真弘多氏が出馬した2010年の知事選を除き、一定の条件を付けるなどの違いはあるものの、現実的な解決策だとして県内移設を容認する姿勢で選挙戦に臨んできた。
 (’18知事選取材班)