知事選討論会 佐喜真氏から玉城氏へ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
玉城デニー氏

◆佐喜真氏「普天間の県外移設先探したか」→玉城氏「まずは運用停止要請」

 

 佐喜真 那覇軍港の浦添移設は新基地建設か代替施設か。推進の立場か。

 玉城 機能強化が明らかな辺野古新基地建設と、移設協議会の枠組みの中でこれから議論が進められていく軍港移設とは根本的に違う。移設協議会で議論を進めるのが一番確かな手順だ。協議会はクルーズバース建設も協議している。港湾利用についての議論もしっかり見守っていきたい。

 佐喜真 クルーズ船の話とは別だ。軍港移設には反対という立場か。

 玉城 現時点で賛成も反対も言うことはない。協議に加わった時点でその判断をする場合が出てくる。

 佐喜真 普天間飛行場の県外の移設先を探したか。

 玉城 さまざまな可能性について情報を収集した。民主党政権は県外・国外移設を模索したが、いわゆる偽装文書で残念な結果となった。まず政府に来年2月が期限の「5年以内の運用停止」実現を求めていく。県の埋め立て承認撤回は適正に判断された。例えば軟弱地盤が明らかになり、辺野古移設が早期返還につながるという根拠が揺らいでいる。辺野古で進める以上、返還されないことになる。あらゆる手段を行使して新基地を阻止する。

◆佐喜真氏「北部基幹病院、地元負担は」→玉城氏「負担ない方向で検討」

 

 佐喜真 北部の基幹病院を早期に実現するということだが、翁長知事の後継者なら地元市町村に負担を求める形での整備なのか。

 玉城 10日に「誇りある豊かな沖縄。新時代沖縄」という私の政策プランを公表した。翁長県政が取り組んで実現した項目、経過にある項目を精査し、さらに新時代沖縄にふさわしい方向性をデニーカラーとしてプラスしていく形の政策だ。

 10日発表の政策で北部基幹病院を早期に実現していくと書いた。北部基幹病院の整備は単なる県立病院の建て替えではなく、二つの病院を統合して整備するもので、県と北部地区医師会、北部12市町村との間で基幹病院としての在り方について協議が重ねられており、私もその協議を進めたい。基幹病院の整備は非常に喫緊かつ地域住民にとっては非常に重要な問題だ。

 北部圏域に暮らす住民のために、慢性的な医師不足を抜本的に解決し、定住の条件でもある医療提供体制を早期に整備していくことは、もう待ったなしの解決課題に向けた方向性であるということは私もはっきりしている。地元市町村の一般財源負担がない方向性をできれば考えていきたい。

◆記者クラブ「振興予算、基地への姿勢で増減」→玉城氏「国の手法認めない」

 

 記者クラブ 翁長県政では基地に反対すると振興予算を減額される形だった。

 玉城 沖縄振興は米国の施政権下に置かれていた27年間の沖縄の特殊諸事情を踏まえ、本土との格差是正や経済の自立的発展のために実施されてきた。米軍基地受け入れの引き替えではない。新基地建設に協力的か否定的かで沖縄振興を増減させるような、地方自治の権限をも毀損(きそん)するような国のやり方を絶対に認めるわけにはいかない。

 お金で地方が伸びゆく力を押さえようとする、それとも賛成すればもっと金をでは地方自治の流れに明らかに逆行する。アジアのダイナミズムを取り入れて得られた資源・原資を、県内の豊かな生活のために還元していく。当然地方自治の権限の中で十分可能だ。

 沖縄振興をまるで国の言うことに賛成か反対かで増やす減らすというやり方は絶対にあってはならない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

<玉城氏訴え>自立型経済 構築目指す

 玉城 私が掲げる新時代沖縄は沖縄の自立型経済の構築を目指すものだ。従来の補助金頼みの県予算づくりではない。県民主体の自らのための新たな振興計画によって自分たちで原資を獲得し、得られた利益は沖縄らしい優しい社会づくりに還元させていく。これが私たちの「新時代沖縄」の、ゆいまーるの、本当のウチナーンチュの在り方だ。佐喜真さんの言葉にはたくさんの矛盾がある。辺野古移設の是非を言わず、普天間の問題だけに矮小(わいしょう)化している。再編交付金を受けることとの整合性が問われるべきだ。