文化庁は24日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関が「宮古島のパーントゥ」(宮古島市)や「男鹿のナマハゲ」(秋田)など8県10件の伝統行事で構成する「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。
宮古島のパーントゥは、宮古島市の平良島尻と上野野原(のばる)に古くから伝わる集落の厄を払い、福を招く伝統行事だ。ただ、同じパーントゥでも島尻と野原では外見や厄払いの方法が異なり、それぞれの特徴がある。
◇島尻―泥を塗り悪霊退散
島尻のパーントゥが現れるのは旧暦9月。体を「キャーン」と呼ばれるつる草で覆い、仮面をかぶって全身に臭い泥を塗った異形の神「パーントゥ」3体が集落のはずれにある「ンマリガー」(生まれ井戸)から出現する。泥を塗ることで悪霊を退散させ、厄払いになるとされる。地域内で新築の家や赤ちゃんが生まれた家などにもパーントゥが入り、泥を塗りまくっていくのが恒例だ。
◇野原―子どもが扮し行列
野原でパーントゥが出現するのは旧暦12月の最後の丑(うし)の日。仮面を着けてパーントゥに扮(ふん)した少年を先頭に子どもたちや頭や腰につる草を身に着け、ツサギー(ヤブニッケイ)の枝を持った女性たちが行列を作って集落を練り歩く。女性たちは太鼓やほら貝を鳴らし「ホーイ、ホーイ」と掛け声を上げる。四辻(十字路)では、女性らが円陣をつくってパーントゥを中心に子どもたちを囲み、厄を払う。
パーントゥはお化け、鬼神を意味する言葉で、海のかなたからの来訪神。「宮古島のパーントゥ」は、島尻の「パーントゥプナハ」と野原の「サティパロウ」の総称で、1993年に国の重要無形民俗文化財に指定された。