自衛官派遣 白紙に ヘリ点検 9カ月経過も米軍拒否 主体性なさ浮き彫り


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 【東京】防衛省と在日米軍は8日、今年1月に米軍普天間飛行場所属ヘリのトラブルが相次いだことを受け、飛行安全に関する専門家会合を東京都内で開いた。これまで同省が米側に求めてきた、米軍ヘリの点検整備の検証に関する自衛官派遣が実現していないことをきっかけに開かれたが、派遣についての合意は得られず、一連のトラブルから9カ月以上たって協議は事実上白紙に戻った形だ。日本側が国内で発生した米軍機のトラブルの実態を把握できない状況は変わらず、主体性のなさが浮き彫りになっている。

 専門家会合は日米の課長級をトップに、パイロットや整備の知見がある米軍人や自衛官らで構成する。今後も開催し、日米間の現場への相互訪問や、整備状況の確認などについて議論を進めるという。

 防衛省の担当者は、自衛官派遣についての協議は「仕切り直し」だと説明した。米軍機によるトラブルを日本側で点検するとした当初の姿勢から後退している。

 県内では今年1月、普天間所属のAH1ヘリやUH1ヘリの不時着などのトラブルが相次いだ。これを受け、当時の小野寺五典防衛相は1月末に普天間飛行場に自衛官を派遣して機体を点検し、整備の情報を収集すると表明していた。だが米側は準備不足を理由に延期を要求し、現在まで実現していない。

 8日の初回会合では、1月に相次いだトラブルに焦点を置いた議論はしていないといい、次回の会合の予定も未定となっている。