与那国馬の血筋裏付け 登録開始、保存へ期待


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日本馬事協会が補助血統登録し、医療ツーリズムへの活用などが期待される与那国馬と、ヨナグニウマ保護活用協会の中川美和子代表理事=19日午後、南城市のうみかぜホースファーム

 日本在来馬で、与那国町の天然記念物に指定されている「与那国馬」に今年3月、公益社団法人日本馬事協会(東京都)が特例的に血統を認める補助血統登録の第一号が“誕生”した。岐阜大学の高須正規准教授の協力を得て、人の親子判定を馬に応用した。与那国馬の証となる2代前までの血筋を裏付け、今後の繁殖で登録も増えると考えられており与那国馬の保存につながると期待されている。

 与那国馬は現在130頭。集団放牧が多かったため、これまで血統の親子関係を証明することが難しかった。その中で、地元関係者らから依頼を受けた日本馬事協会は2009年から与那国島で飼養されている馬にマイクロチップを埋め込み、DNA型を検査した。

 今年3月、血統の記録が科学的に裏付けられたとして与那国馬としては初めて補助血統登録された。

◆ホースセラピーにも活用/乗馬体験で効果

“血筋”が証明され、保存に期待がかかる与那国馬=19日午後、南城市のうみかぜホースファーム

 日本馬事協会が特例的に血統を認める補助血統登録の第一号が“誕生”した「与那国馬」は保護を図りながら、医療ツーリズムに活用しようとする取り組みが進められている。

 医療ツーリズムを計画しているのはヨナグニウマ保護活用協会(中川美和子代表理事)と病院やホテルを運営するタピックグループ(宮里好一代表)。中川代表理事が場長を務めるうみかぜホースファームの与那国馬を活用し、馬介在療法(ホースセラピー)として確立する考えだ。

 ヨナグニウマ保護活用協会によると、これまでの乗馬体験などで利用者らの精神的な変化があったという。今後は乗馬する人がけがをしにくいように海などでホースセラピーを展開したいという。

 ホースセラピーはドイツでは保険適用されており、国内でも保険適用を求める声がある。

 そこで、医療ツーリズムを推進するタピックが協力。実際にホースセラピーを展開する前段として、南城市で23、24日に「第2回ヨナグニウマ祭り」を開催する。さらにはタピックが運営する東南植物楽園でのイベントに与那国馬を登場させる。リハビリ病院や精神科病院を運営するタピックの知見を生かし、触れ合いや乗馬の体験者から聞き取るなどして効果を検証し、ホースセラピーとして確立させたいという。

 中川代表理事は「保存と活用の二本柱で活動している。与那国馬の価値を高めることにつなげたい」と期待した。