“三人四脚”で最高賞 脳性まひの新垣さん 2師匠と高みへ 琉球古典芸能コンクール三線野村流


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
最高賞合格を喜ぶ新垣舞さん(左)と師匠の糸数くるみさん=うるま市の糸数くるみ研究所

 脳性まひの障がいがある新垣(しんがき)舞さん(24)=うるま市=がこのほど、第53回琉球古典芸能コンクール(琉球新報社主催)の三線野村流最高賞に合格した。師匠の野村流音楽協会師範・平川崇盛さんが2004年に亡くなった後、当時県立芸術大1年だった崇盛さんの娘で同協会師範の糸数くるみさん(33)=同市=が指導を引き継ぎ、二人三脚で歩んできた。新垣さんは、合格者が出演する第53回琉球古典芸能祭初日の26日、幕開けの斉唱に出演する。

 新垣さんは生後間もない頃に一時呼吸が止まってしまい、脳性まひになった。手足が自由に動かせない障がいが残ったが、幼い頃から民謡が好きで、2004年8月に崇盛さんに入門した。崇盛さんは腎臓が悪く、長年人工透析を続けていた。くるみさんは「父も闘病しながら三線を続けていたので、舞の気持ちがよく分かったと思う」と語る。だが、崇盛さんは病状が悪化して同年11月に急死した。

 くるみさんは不安もあったが、「父が自分を教えてくれたことへの恩返しにもなる」と思い、新垣さんの指導を引き継いだ。新垣さんが習い始めた当初は指が硬く、弦を押さえることも難しかった。指を動かすだけで1日の稽古が終わることもあった。だが「好きな三線を諦めたくない」と努力を重ね、少しずつ上達した。

 新垣さんは最高賞を目指し「寝る間も惜しんで『目から血が出そう』と思うくらい稽古した」と振り返る。8月に受験し、見事に合格した。審査員からも高評価を受けた。「次は舞踊の曲も勉強したい」と意欲を示す。くるみさんは「初めての教え子で挑戦だった。父にいい報告ができて安心している。舞の演奏を聴くと『私も頑張らなきゃ』と思う」と喜んだ。

 琉球古典芸能祭は26日から30日まで那覇市の琉球新報ホールで開催される。いずれも午後6時開演。