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ユネスコ無形文化遺産に登録されたパーントゥが抱える課題 後継者不足、イベント化…「地元の人が関われていない」

 【宮古島】「来訪神 仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産に登録された「宮古島のパーントゥ」は、沖縄県宮古島市平良島尻と上野野原で特徴を守りながらそれぞれ受け継がれてきた。しかし近年、両地域では「行事の中心となる若い人がいない」という共通の悩みを抱えている。


宮古島市上野野原の「サティパロウ(里払い)」

宮古島市平良島尻の「パーントゥプナハ」

 島尻は同地区の青年会が中心となって行事を取り仕切る。青年会長の上地俊也さん(28)は「後継者は現時点でぎりぎりで、10年後は分からない」と話す。担い手の年齢層は高卒から40歳だが、年齢の上限が年々上がっているという。島尻のパーントゥは20キロ以上にもなるつる草と泥を全身に身につけて走り回るため、若い男性でなければ成り立たない。上地さんは「今回の登録が行事を存続するためのプラスになるよう、方策を考えたい」と語った。

 青年会OBの島尻一臣さん(40)は「地域のための行事だが、地元の人が関われていない」と指摘する。本来は集落の厄をはらうための行事だが、観光客が増え、地元の人が交通整理などの対応に追われ、行事に参加できていない状況となっている。島尻さんは「神事」ということを踏まえつつ「地域活性化のためにはある程度のイベント化も必要」と説く。「有名になった以上は、きちんと地元の人が参加できるように、外部委託も視野に入れながら運営できるシステムを作らなければならない」と話した。

 野原では、小学校高学年~中学生の男児がパーントゥに扮(ふん)する。しかし現在、同集落内には該当する子どもがおらず、隣接する地域の野原出身者などに協力を仰いでいるのが現状だ。2年前は子どもが確保できず、地域の大人で代役を立てた。神事をつかさどる「ツカサ」を務めたことがある仲里千代子さん(63)は「集落に小学生がいなくなり、子どもの確保が難しくなっている。高齢化も進み、ツカサをする人も減っている」と危機感を募らせる。

 市町村合併後、若い人たちが平良に住むようになり、地元に戻って来ることが少なくなったという。仲里さんは「あくまで集落内の厄払いなので、地道に続けることが大切という思いもある」とする一方で「発想を変えないといけない時期にきている」とも言う。「ユネスコ登録を契機に対外的な対応も踏まえて、良い方向に考えたい」と話した。