「LGBTは一つの個性」当事者3人、思い語る 沖縄・南部農林高で講演


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 【豊見城】さまざまな性の在り方についてLGBT(性的少数者)当事者の目線で伝える講演会が11月30日、豊見城市の南部農林高校(与那嶺国彦校長)で開かれた。共にFtM(体は女性として生まれ、心の性は男性)の與那覇真生さん(34)=那覇市=とブライアント・レイさん(33)=北中城村、うるま市出身でモデルとしても活動するレズビアンのChicca(松田千香)さん(33)=東京都=の3人が自身の経験を語り、「一つの個性として考えてほしい」と呼び掛けた。

これまでの経験を語る(右から)ブライアント・レイさん、Chiccaさん、與那覇真生さん=11月30日、豊見城市の南部農林高校

 「体の性、心の性、好きになる性は人によっていろいろなんだ」。3人の語りに全校生徒が引き込まれ、質問も相次いだ。講演会終了後には保健室で座談会も開かれ多くの生徒が3人と語り合った。

 男性として生きているブライアントさんは、今年になってからゲイだと気付いたことを紹介。「トランスジェンダーだから、女性を好きにならないといけないと思っていた。でも、考えてみると男性が駄目な理由がなかった」と語った。

 宮古島出身の與那覇さんは高校卒業後、本島に出て20歳でカミングアウトした。幼少期を「自分で男だと思っていて制服のスカートがとても嫌だった。でも、島で男だとばれるのが怖かった」と振り返った。

 Chiccaさんは「24歳で東京に出るまでは、異性を好きにならなければならないという先入観があり、異性を好きになる『ストレート』として生きていた」という。

 人に言われて嫌だった表現として與那覇さんは「『おとこおんな』と言われたときは気持ち良くなかった」と語った。Chiccaさんは「レズビアンという言葉自体ではなく、言い方が気になることがある」と、言葉に込められる感情に差別がないか問い掛けた。

 3年生の原口優華さん(18)は「話を聞いて身近な存在になった。誰かからカミングアウトされたら受け入れたい」と語った。

 ブライアントさんとChiccaさんは「Liccas lick」として、性的少数者のオフ会を主催するなど活動しており、ブライアントさんは「ありのままで受け入れられる場所が増えてほしい」と願った。