親子面会調停が最多 離婚後交流258件、9年で3倍 17年那覇家裁


この記事を書いた人 大森 茂夫

 離婚により別居する親と子どもを定期的に会わせる「面会交流」で、那覇家庭裁判所に申し立てられた2017年の調停件数が258件と過去最多となった。08年の78件に比べ3倍以上に増加した。同裁判所は、父親の育児参加への意識が高まり、価値観が多様化したことなどが増加の要因とみている。一方、識者は「育児参加の意識というより、権利意識の高まりではないか」と指摘している。

 面会交流の調停では、家庭裁判所の家裁調査官らが双方の親や子どもから事情を聞き、話し合いを仲介する。直接の交流のほか、手紙などでの間接的交流など個々の事例に沿って方法を考える。調停が成立するまでに1年近くかかることが多いという。

 県内は特に子どもの数が多く、離婚率も高いことから面会交流への支援を求める声が上がるが、現在、支援に携わる第三者機関がない。那覇家裁の萱間(かやま)友道次席家庭裁判所調査官は「第三者機関があれば段階を踏んで橋渡しができた事例もある。県内に機関がないことは課題だ」と強調する。

 しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄の秋吉晴子代表も「母子の精神状態などから離婚直後に面会交流を始めない方がいい場合もある。配慮する第三者機関の整備が必要だ」と指摘する。「司法では就労や経済問題で母子家庭が不利な部分が理解されていないと感じる。面会交流と養育費の支払いが連動しているかも注視したい」と話した。

 那覇家裁の萱間調査官は「事例ごとに家族に合わせた多様な交流の進め方が必要だ。子どもの視点から面会交流の望ましい環境づくりが必要という認識が社会全体に広まってほしい」と語った。