[ココロ・カラダ不思議つながり]65 恋愛してもいい条件って?


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Q.恋愛してもいい条件って?

 

今日の質問は、

「この連載でカラダやココロのことを勉強しています。難しいところもありますが、漢字にルビが付いているので、読みやすいです。私の質問は、誰かを好きになってその人と付き合いたいと思うことって、いけないことですか? 知的障がいがあると、もっとおとなになってからする方がいいのですか?」です。

特別支援学校高等部2年生からです。

 

A.好きになるのは自然な気持ち

 

障害者権利条約

あなたのように悩んでいる人の声はたくさん聴いています。障がいのある人も、もちろん誰かを好きになって良いし、お互いが望むなら付き合ったり、一緒に暮らしたりしても良いのです。

「障害者権利条約」って聞いたことあるかな? 特別なことが書いてあるわけではありません。この条約では、「障がいのない人に認められているあらゆる権利は、障がいのある人にも認められるべきだ」と宣言しています。本当に残念ですが、障がいのある人にも同じ権利があると認められていないので、世界中から障がいのある人たちが集まって障害者権利条約を作りました。障がいのある人が障がいのない人と同じように生活ができるようになることを目指しています。

そして、2006年に国連の全体の会議で「良いものなので世界中に広めていきましょう」と決めました。その23条に、2人がお互いにOKしたら、結婚をして、子どもを育てるかどうかも含めて家族を作ることを、自由に責任を持って決める権利があると書いてあります。そして、それができるように情報を得たり、教育を受ける権利があり、周りの人はそのためのサポートをしなければならないと書いてあるのです。日本は2014年に「この条約に書いてあることを守って、法律や制度を変えていきます。この考えを社会全体に広めます。」と約束しました。

誰かを好きという気持ちは、自分の中から自然に湧き上がってくるものです。気持ちに良い悪いはありません。おとなに向かってカラダやココロが変化する思春期になると、恋愛の好きという気持ちが湧きあがってくる人が多くなります。好きになると、その人のことをもっとたくさん知りたいと思うようになって、近づきたい、話したい、一緒に出かけたいなど付き合いたいという気持ちになる人も多いです。これも気持ちなのでOKです。知的障がいがあるから遅いほうが良いということはありません。

相手の気持ちも大切に

ここで大切なのは、付き合うのは2人ですることなので、相手も好きと思っているか、さらに、付き合いたいと思っているか、を確かめることです。

今までの連載でもいろいろ書いてきました。自分の気持ちだけで一方的に行動するのは、ストーカー行為になってしまいます。このことを心配して、恋愛禁止というルールを作るおとながいるのは残念なことです。

「障がいのある人にも同じ権利を認めると日本も決めたんですよ。お互いに安心できる素敵な関係を作れるように勉強したいから手伝ってください」と伝えて、サポートをしてもらいましょう。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。

 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。

 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。

~ この連載が本になりました ~

ココロ・カラダ不思議つながり

 
徳永桂子・著/上原明子・イラスト
A5変型判 128頁(オールカラー)

¥1,250(税抜き)