旧東恩納博物館 シロアリ被害で解体へ うるま市史跡


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取り壊しが決まった東恩納博物館跡の木造建物=1日、うるま市石川東恩納

 【うるま】戦後初めて沖縄の博物館施設として設けられ、現行の県立博物館の大本となった、うるま市東恩納の東恩納博物館跡の木造建物がシロアリ被害などを理由に取り壊されることが1日までに分かった。

 建物は1945年、米海軍が瓦ぶきの民家を修理し、「沖縄陳列館」の名称で博物館として開館した。翌年、沖縄民政府に移管され、東恩納博物館に名称を変えた。53年に首里博物館と合併し閉館した。2005年3月1日に石川市が文化財に指定した。

 うるま市は同館跡を史跡指定しているが「建造物ではなく、戦後の沖縄における文化財保護啓蒙(けいもう)の発祥地としての土地を史跡指定している」と説明する。場所としての意義を重視し、建造物の修復などについては感知しないとの立場で、特に対応しないという。

 土地、建物の所有者、平良博さん(75)は「10年以上前からシロアリ被害に悩まされてきた。台風で倒壊し近隣に迷惑がかかる恐れもあって怖かった」と維持管理の難しさを口にした。取り壊しについて、市は「所有者の平良さんらと連携し、今後も歴史を語り継ぐ努力をしていきたい」とした上で、解体後は案内板の移築や石像の一部を残す方向で調整するとしている。