26歳で脳梗塞 労災認定 携帯代理店店長 残業、月100時間超


この記事を書いた人 大森 茂夫
スマートフォンに残っている長時間労働をしていた当時の記録を確認する女性=15日、那覇市(画像は一部加工しています)

 大手携帯電話会社の代理店業務を営む県内企業に勤務していた元社員の女性(31)が、26歳の時に脳梗塞を起こしたのは過重労働が原因だとして、那覇労働基準監督署が2018年11月に労災認定していたことが分かった。女性は店長として月100時間を超えて残業するなど、過重な業務が発症の原因になったと認めた。

 沖縄労働局によると脳・心臓疾患が労災として認定される例は少なく、県内は15年度と16年度が各1件、17年度は0件にとどまる。一方で同疾患に伴う労災の請求件数は15年度4件、16年度9件、17年度16件で近年、増加傾向にある。

 大学卒業後、22歳で入社した女性は25歳のとき本島南部の店舗で店長を任された。十分な支援がないまま、店長として煩雑な業務や過大なノルマなどを課され長時間労働をせざるを得ない状況になったという。

 入社以来、先輩や同僚らがタイムカードで退社時間を記録した後も、さらに残業する例が多いのを見て、自らも同様に残業時間を抑えて報告していた。過重労働が続く中、14年1月13日に自宅で倒れて右半身が動かなくなり、翌日に病院で脳梗塞と診断された。女性は弁護士に相談し、店舗が入居する大型商業施設の入退室の記録を基に実質的な労働時間をまとめ、労災を請求した。

 那覇労基署の調査官は調査復命書で「発症前1カ月間に109時間の時間外労働が認められ、業務と発症との関連性は強いと評価できる」との見解を示した。

 女性は取材に「店長になって負担が大きくなり、会社をやめていく人は多い。サポート体制をきちんとしてほしい」と語った。会社側は「重大に受け止める。今後、こういうことがないようにマネジメントしていく」とコメントした。

 労働問題に詳しい金高望弁護士(ブラック企業被害対策弁護団)は「会社の労働時間の管理がきちんとされていない。最初から使い捨てありきで、社内で人材を育てていく考えがないように受け止められる。ブラック企業の典型のような働かせ方だ」と指摘する。「労働のルールを破った企業が得することを許してはならない。悪質な例はもっと行政が積極的に介入する必要がある」と強調した。