海ぶどう ゲノム解読 OIST、恩納漁協 安定生産に期待


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沖縄科学技術大学院大学(OIST)が全ゲノムを解読した海ぶどう。単細胞でこのように複雑な体を作るメカニズムを探った(OIST提供)

 沖縄科学技術大学院大学(OIST)マリンゲノミックスユニットの有本飛鳥研究員、將口栄一研究員らはこのほど、海ぶどうの全ゲノム解読に成功した。海ぶどうは体全体が1個の細胞であるにもかかわらず、ツタのような部分、ブドウの房のような部分と複雑な形態を作り上げる仕組みも明らかにした。英国の科学雑誌DNAリサーチに28日、掲載された。恩納村漁業協同組合との共同研究。

 海ぶどうは沖縄を代表する食用海藻として生産量は右肩上がりで、2013年には生産額10億円を突破した。海水温の変化に収穫量が左右され、近年は海水温上昇のため粒の付きが悪くなるなどの生育不良が出ている。共同研究は、海ぶどうへの理解を深めることで安定生産を目指す。

 OISTでDNA配列を読み取った結果、海ぶどうのゲノムサイズ(塩基対の数)はモズクの2割しかなく、農産物の中で最小クラスだった。一方、遺伝子の働きを制御する遺伝子の種類が多く、時期や部位によって発現させる遺伝子を変えることで複雑な体を形作っていることが分かった。

 有本研究員らは「分類的に遠く離れた陸上植物と同じ仕組みで興味深い。成長不良を起こしにくい品種の選別につながる」と語った。