名護の名物服飾店 閉店 「マダム絹」、君島氏作品扱う 地域に愛され43年


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ブティック「マダム絹」を閉店する与座絹代さん=名護市

 【名護】43年ありがとう―。名護市城のファッションブティック「マダム絹」が3月末で閉店する。1976年にオープンし、皇族の洋服も取り扱ったデザイナーの君島一郎氏の作品を沖縄で初めて取り入れた。県内外で活躍してきた与座絹代さん(72)は「さみしいけれど、みんなにありがとうの気持ちでいっぱい」と感謝の言葉を述べた。

 与座さんは東京・表参道の君島氏の所へ何度も通い、2001年にはホテル日航那覇グランドキャッスル(当時)で君島ブランドのファッションショーも開催。「君島さんの商品をどうしてもPRしたかった。それが一番の思い出」と誇らしげに語る。

 一日で60万円を売り上げたこともあり、沖縄でファッション業界の先端を駆け抜けた自負はある。それ以上に、地元での思い出もあふれる。「人との出会いがたくさんあって、お客さんみんなと友達になった。にぎやかで楽しかったよ」と振り返る。

 一方で、店を続けるのが難しくなった。

 「本当は辞めたくないけど、体力的に負担になってきた。お友達も90代以上になって、だんだん来られなくなるのが、少しさみしいかな」と話す。43年間ブティックを続けてこられたのは、地域の人の支えがあったから。感謝の気持ちとして、全品90%オフで提供している。「お礼のつもりでやってる。もう本当に、お客さんは最高でしたよ」と笑った。
 (阪口彩子)