「この会社で一生働きたい」 個々の人生計画共有 スタプランニング 「働き方改革 あすスタート」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
社員一人一人の人生計画を共有するスタプランニングの小橋川寛子さん(中央)、赤嶺剛社長(右)、総務経理課の上地良美さん=28日、那覇市与儀の同社

 飲食店の開業支援や店舗の企画・設計、施工などを手掛ける「スタプランニング」(那覇市与儀)は、長時間労働など無理な働き方に危機感を抱き、約5年前から働き方改革に本腰を入れている。

 「過労死も出かねないと恐怖感があった」。社長の赤嶺剛さん(53)は振り返る。1996年に会社を設立以来、規模の大小にかかわらず依頼があった仕事は次々に受注。繁忙期は月の残業が180時間を超える社員も少なくなかった。社員数は20人ほどだが、年に10人余りが退職するなど高い離職率が深刻な状況だった。

 技術を培った社員が独立することも推奨していた赤嶺さんは「ある社員からこの会社で一生働きたいとの思いを聞き、大いに反省した」と明かす。自らも5人の子どもを育てる父親。社員や家族の人生に責任を持つため、私生活も大切にした働き方を模索した。

 業務の平準化や受注基準の見直しに取り組み、繁忙期の受注は時期をずらす交渉をした。年に約200件あった受注件数も半分の約100件に減らした。短期間で仕上げる仕事より、公共工事も含めて工期が長い仕事を増やし、社員の休みも考慮した無理のない納期を設定。当初は赤字だったが、徐々に利益を取り戻し、今では5年前の売り上げを超えるようになった。

 残業も社員平均4時間に削減した。社員が有休を5割以上取得することを目標に、有休奨励日も月3日ほど設けて休みを促している。社員一人一人が結婚や出産・育児休暇なども含めた人生20年計画を作って発表し、育休、産休を取得する時期も見通した上で仕事や人事なども反映するよう調整している。

 赤嶺さんは働き方改革について「経営者が本気でやらないとできない。何かを捨てないといけない場合もある」と指摘した。

 (古堅一樹)