児童福祉司業務、1人で97件も 沖縄県内、国指針の2倍


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 2018年度に沖縄県内児童相談所に配置されていた児童福祉司49人のうち、2月末時点で1人当たりの担当件数が最も多い福祉司はコザ児相で97件、中央児相で89件に上回っていることが琉球新報社の調べで分かった。国が「迅速・的確な対応を確保するための業務量」として示す「40件相当」の2倍超に及ぶ。受け持ちが少ない児童福祉司は、産休育休代替の臨時職員で、ケースを均等に割り当てられない実情があった。

 今年1月末に発生した千葉県野田市立小4年女児(10)が死亡した事件を受け、琉球新報は中央児相とコザ児相の児童福祉司の業務量について調査を実施。4月上旬までに回答を得た。

 その結果、最多の担当を受け持つ児童福祉司は、国が虐待防止のための体制強化プラン(新プラン)の中で示す40件相当の2・2~2・4倍に当たる97件(コザ)と89件(中央)を抱えていた。2人は児童養護施設に入所した児童のケアに当たる「施設担当」。最少の担当数は国の方針を下回り、15件(コザ)と35件(中央)となっていたが、いずれも産休育休代替の臨時職員だった。結果的に、正職員の児童福祉司の担当数が膨らむ実態があった。

 児童福祉司が配置されている部門別の負担度を事件前後の月で比較すると、虐待通告後に調査や子どもの一時保護を担う「初期対応」の児童福祉司の業務量が5~20件増えていた。

 両児相の2月の虐待相談対応件数は前月比で1・4~1・7倍に増加しており、中央の福祉司1人の担当件数が一時的に80件に達した。66件に減った3月末時点でも、この福祉司は「職員が足りずしんどい。『子どもたちや保護者への対応はあれで本当に十分だったのか』とすべてのケースで反省ばかり感じている」と打ち明けていた。

 識者は「虐待対応の児童福祉司が担当を抱えすぎると、重いケースの対応に追われて、他ケースのリスクを見落とす危険性が高まる」と指摘した。

 県は県議会2月定例会で、1人当たりの平均担当件数を43・7件と報告していた。県青少年・こども家庭課は「今月から特に負担の重い中央児相に正職員を1人増員し、負担軽減に努めている」と説明している。
 (新垣梨沙)