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これが昭和初期に使われていた荷馬車 91歳、記憶頼りに制作 「昔の生活知ってほしい」

復元した荷馬車について説明する渡慶次憲雄さん=23日、読谷村伊良皆

 【読谷】昭和初期に物資の運搬に使われていた荷馬車について、後世に語り伝えるためのきっかけにしたいと、読谷村の渡慶次憲雄さん(91)が手作りの木工でミニチュア4台を完成させた。馬に取り付けるくら、くつわまで細かく復元した。「今の便利な機械類に比べると、荷馬車は大したことない物かもしれないが、こういう物が欠かせない生活を一生懸命していた歴史があることを知ってもらいたい」と話す。

 渡慶次さんは1927(昭和2)年、旧北谷村嘉手納の生まれ。叔父の憲政さんが荷馬車で物を運ぶ仕事をしており、学校に通いだした7歳ごろから馬を運動させる役目を任されるなどしたという。

 生家は軽便鉄道嘉手納駅にも近く、荷馬車は駅から物資を運び出す際にも用いられ、住民生活で重宝されていたという。

 戦前の生まれ島の様子をどうにか現代に残しておきたいと、渡慶次さんは10年ほど前から、記憶だけを頼りにくつわなど馬具を復元することから始めた。自動車解体業を営んできたが、木工は全くの素人。「出来上がりを見た人に『大工(せーく)やてーさやー』(大工だったんだね)と言われるけど、そんなことはない。残したいという思いでどうにか徐々に上達したんでしょう」と笑う。

 荷馬車は戦後すぐまでは見かけたというが、徐々に姿を消した。復元は、記憶をつなぎ合わせ、試行錯誤しながら進めた。100歳を超えて元気だった叔父の憲政さんに見てもらうことを楽しみに打ち込んできたが、憲政さんは昨年12月に亡くなり、その願いはかなわなかった。

 渡慶次さんは「自分もいつまでも元気でいられるわけではない。今の子たちはこんな道具について教えてもらうこともないだろう。こういう物を使った生活が戦前にあったということを残したい」と話している。