第一航空が沖縄県に損害賠償請求 補助金減額で提訴


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 2015年に粟国空港で発生した着陸失敗事故を契機に、那覇―粟国路線を撤退した第一航空(大阪府、木田準一社長)は9日、県が補助金を一方的に減額して運航の継続ができなかったのは信義則に反する違法な行為だったとして、県に約4億5500万円の損害賠償を求める訴えを那覇地裁に起こした。

 訴状などによると、同社は15年8月の事故後、運航再開に向けて訓練を続け、訓練費用などの経費の補助を県に求めたが断られた。同社が撤退の方針を伝えると、県は補助金の算定を調整すると約束したがほごにされ、補助額が大幅に減額されたと主張している。

 同社は減額を受け入れ、18年1~3月の間はいったん運航を再開したが、県は同社が求める18年度の補助金支出を「過大」として認めなかった。その後同社は撤退を表明。事務所閉所までの1年余りにかかった訓練費や航空機の維持費などの損害賠償を求めている。

 県庁で記者会見した代理人の金高望弁護士は「県が第一航空との交渉に誠実に応じなかったのは極めて遺憾だ」と述べた。県は「訴状を見ていないのでコメントできない」とした。

 一方、同社は那覇―粟国間に就航させる目的で国や県の補助を得てプロペラ機2機を購入。県は機体を同路線に就航させないのは「目的外使用」に当たるとして補助金返還を求めることができるとするが、同社側は「別路線への使用や譲渡、貸し付け担保に使うなどの目的外の使用はしていない」と反論している。