「いのちの電話」相談員不足 高齢化要因 登録者数90人に 来月から養成講座


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カウンセリング公開講座への参加を呼び掛ける「沖縄いのちの電話」の渡久山朝裕事務局長(左)と仲地博巳運営委員長=8日、那覇市泉崎の琉球新報社

 孤独や悩みを抱える人に寄り添い、自死を防ぐ「沖縄いのちの電話」の相談員が不足している。2016年に146人いたボランティア登録者は現在、約90人に減少した。専用の電話は2回線あるが、相談員の不足で1回線しか利用できない時間帯もある。減少は高齢による引退などが主な要因で、事務局は相談体制を充実させるため、新たな相談員を育成する公開講座を6月から実施する。

 沖縄いのちの電話は1976年に開設され、年間1万件近くの相談に対応してきた。毎日午前10時~午後11時にボランティアで電話を受けているが、近年は相談員の減少や自死のリスクが高い相談に長時間対応していることもあり、件数は減少傾向にある。2018年の相談件数は前年比775件減の7873件で、死をほのめかす内容の相談は1194件あった。

 事務局によると、日常の悩みなどリスクが低い相談に比べ、死をほのめかす内容の電話や無職の中高年男性、独居老人、うつ病の患者などには対応時間を長く確保している。そのため対応できる件数が少なくなる傾向だという。

 公開講座では広く関心のある人に受講を呼び掛け、相談員を目指す人は養成講座に進み、専門的な対応方法を学ぶ。渡久山朝裕事務局長は「社会貢献や自己の勉強にもなる」と参加を呼び掛けた。

 前期の公開講座は6月6日から9月までの15回、毎週木曜の午後7~8時半、会場は那覇市のカトリック安里教会。対象は23~70歳で定員50人。受講料は前期、後期各2万円。申し込みは5月末まで。問い合わせは事務局(電話)098(888)4747。「沖縄いのちの電話」は(電話)098(888)4343。

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 「沖縄いのちの電話」は匿名で、身近な人間関係や人生などに関する悩みを聞く電話相談を毎日午前10時~午後11時に実施している。相談は(電話)098(888)4343。

 渡久山事務局長は「誰にも言えず我慢している、つらい思いを伝えるだけで十分です。気軽に電話してほしい」と話した。

 毎月10日は「日本いのちの電話連盟」が無料で24時間の相談を受け付ける。(電話)(0120)783556。