数学ってこんなに楽しい! 高校教諭、大学教授らが勉強会で授業アイデア共有


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楽しく数学を教えるアイデアを出し合う「高校数学教育を楽しく考えよう!の会」の参加者=11日、西原町の琉球大学教育実践センター

 「難しい」「将来役に立つか分からない」などのイメージが先行し、敬遠されがちな数学を楽しく分かりやすく教えようと、沖縄県内の高校教諭や大学の研究者が一緒になって授業を研究する勉強会がある。その名も「高校数学教育を楽しく考えよう!の会」。2016年秋に発足し、2カ月に1度の割合で開催されている。顧問の伊禮三之仁愛大学教授を中心に、楽しい授業に向けたアイデアを共有している。

 11日は琉球大の教育実践センターで第13回となる勉強会があった。この日は豊見城南高校の漢那初美教諭が「サイン・コサイン・タンジェント」でおなじみの三角比を教える際、生徒に校舎の高さを測ってもらった授業を報告した。

 漢那教諭が授業で使ったのは、分度器とタンジェントθ(シータ)の値を印刷した画用紙に、ストローとおもりのついたひもを貼り付けた手作り教材(通称タンタン)。ストローの穴から目標物(校舎)をのぞくと、現在地から見た目標物の角度とタンジェントθの値が一発で分かる仕組みだ。目標物から現在地までの距離を測り、タンジェントθの値を掛ければ目標物の高さが割り出せる。

 生徒は測定結果と設計図の高さがほぼ同じであることを体験した。数学の問題を現実の事象を通して学んだことで、漢那教諭は「数学に対するイメージは授業前より肯定的になった」と報告した。

 参加者は授業で使われた「タンタン」などの教材に触れながら、授業に使えるかイメージしていた。「そのまま三角関数にもつなげられる」など、意見交換も自然とわき起こった。

 教材はネット上の共有フォルダに入れており、勉強会の参加者は自由に使うことができるという。

 勉強会には開邦中学校の大川哲史教諭も参加した。大川教諭は「図形を動的に見る」ことが求められる問題を教えるため、パソコンの画面上で図形を動かす数学アプリ「GeoGbra(ジオ・ジブラ)」を活用している。

 大川教諭はアプリの使い方を解説。クラウド上で別の教員が作成した図形も自由に使えるという、多忙な教員にとってはありがたい「小ネタ」も教えた。

 副顧問を務める琉球大教職大学院の多和田実准教授は「大学教授も現場の高校教師も一緒になって授業をつくる珍しい勉強会だ。行政にも研修会があるが、これほどざっくばらんとはいかない」と話した。

 会の問い合わせは漢那教諭。メールアドレスはhanshimh@open.ed.jp