倉敷で高濃度PFOA 地下水調査 産業廃棄物関係か


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 【中部】沖縄県環境部が2018年度に沖縄市池原の産業廃棄物処理業・倉敷環境(現・倉敷)周辺で実施した地下水調査で、複数の調査地点から高濃度の有機フッ素化合物(PFOS、PFOA)が検出されたことが22日、分かった。特にPFOAが高かった。倉敷環境は長年、施設内に違法に積み上げた「ごみ山」が問題になっており、周辺地下水からはヒ素やダイオキシンなどの有害物質も出ている。県は汚染源が同事業者の可能性があるとして調査を継続する。県によると周辺の地下水は農業用水などにも使われているため、周辺住民からは人体への影響を懸念する声も上がっている。

 県に先立った県企業局の調査でも、施設に隣接する倉敷ダム直下で高濃度のPFOAが検出されていた。いずれも調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト」(IPP)の河村雅美代表が情報開示請求で入手した資料で判明した。

倉敷環境の敷地内に高く積まれた「ごみ山」=沖縄市池原

 県の調査によると倉敷環境の旧管理型処分場直下の調査地点で1リットル当たり2600ナノグラムのPFOA、1100ナノグラムのPFOSが検出されたほか、別の地点でも2500ナノグラム(PFOA)、1000ナノグラム(PFOS)が検出された。一般廃棄物処理場周辺でも1780ナノグラムのPFOAが確認された。国内での環境基準値はないが、米国では飲料水中の生涯健康勧告値を1リットル当たり70ナノグラムとしている。今回の調査は、企業局の調査で倉敷環境周辺から比較的高濃度のPFOS、PFOAが検出されたことから、県が発生源を把握するため初めて実施した。本紙取材に対し環境部の担当者は「一度の調査で特定はできないが、ごみ山から地下水汚染が出ていることが疑われる」との見解を示した。

 県内最大手の倉敷環境は産業廃棄物のほか、米軍基地から排出される一般ごみなども長年受け入れてきたが、不法投棄を理由に17年11月、県に産業廃棄物処理業の許可を取り消された。現在は同地に新設された「倉敷」が業務を引き継いでいる。
 (当銘千絵)

 ◇PFOS・PFOA 有機フッ素化合物の一種。発がん性などが指摘され、PFOSは残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)で国際的に製造・使用が制限され、国内でも一部例外を除き原則的に使用・製造が禁止されている。PFOAは世界保健機関(WHO)の外部機関が発がん性の恐れがある物質に指定し、主要な化学メーカーが既に自主的に使用を廃止している。物質としての安定性が高いため、環境中でほとんど分解せず、生物中に蓄積することが懸念されている。