けが越え地元デビューへ プロ11年目 FC琉球・上原


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サッカー、そして地元沖縄に対する思いを熱く語る上原慎也

 19日に岡山県であったFC琉球―ファジアーノ岡山戦の後半27分、けがから復帰した上原慎也(32)=西原町出身、沖縄大出=が投入された。待ち望んだ琉球でのデビュー戦。186センチの長身を生かして前線で攻撃の起点をつくり、1点を追う琉球を勢い付けた。上原は「もっともっと(チャンスを)引き出したかった」と悔しそうに語る。プロ11年目で活躍の場を故郷に選んだ32歳の覚悟は強い。

 大学時代は県内でも頭一つ飛び抜けた実力で、当時JFLの琉球で総監督を務めるフィリップ・トルシエ氏からも熱烈な勧誘を受けた。だが、J2以上のカテゴリーで挑戦してみたかったこともあり入団を断った。

 2009年に上里一将(宮古島市出身)が主将として率いる北海道コンサドーレ札幌(当時J2)でプロデビュー。9年間札幌でプレーした後に愛媛FCに移り、今季から上里と共に琉球の戦力となった。「カズさん(上里)と沖縄で再会してプレーできるのはうれしい。沖縄への思いも強い」と頰を緩ませた。

19日の岡山戦で復帰を果たし、練習に熱が入るFC琉球の上原慎也(左)=22日、中城村のごさまる陸上競技場

 以前と比べて琉球はカテゴリーが上がり、組織力も見違えるほど良くなった。ホーム無敗記録を樹立し、ファンも増え続けている。
「県内外の選手が頑張ってきたおかげ。本当に良いチームになっている」と、歴代の選手に敬意を払う。

 プロ生活はけがという試練の連続だった。大学時代に右ひざ前十字じん帯を断裂、プロデビュー後も度々けがに見舞われた。愛媛時代も右ひざをひねるなど、なかなか完治できない状況が続いた。琉球ではチームの始動から5カ月以上も調整を要して「全治する期間も言われず先が見えない感じだった」。妻や子ども3人の家族、スタッフの献身的なサポートもあり「テーピングを巻けば普通にプレーができる」状態まで回復した。

 岡山戦に出場した上原の活躍ぶりに樋口靖洋監督は「やるべきことをわかっている選手」と高く評価する。上原は「良いタイミングで飛び出せばボールがくる。セットプレーで点が取れればもっとチームが楽になる」と活躍するイメージを強く描く。新潟戦(25日、ホーム)に出場すれば、公式戦では08年の天皇杯県予選ぶりに沖縄のピッチに立つことになる。「プロでも最後までボールを追いかけ、がむしゃらにプレーする。勝敗も大事だがそこを見てほしい」。待ちに待った県勢リーガーの沖縄デビューが近い。
(喜屋武研伍)