住宅着工数ピークか 宮古・八重山は貸屋の建築が増加「空き室がなく需要に供給が追いつかない」


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 南西地域産業活性化センター(NIAC、石嶺伝一郎会長)は27日、リポート「沖縄県内の住宅着工と空き家の動向」を発表した。県内景気の拡大や貸出金利の低下などで県内の住宅着工戸数は高水準で推移する一方で、建築費の上昇などにより「住宅着工が調整局面に入る可能性が高い」とし、着工水準がピークに差し掛かっているとの見方を指摘している。ホテル建設などに伴い作業員が増加する宮古や八重山では貸家の着工が増加している。

 県内の住宅着工戸数は、2013年に前年比30・7%増の1万6618戸と大幅に増加した。14年4月の消費増税を前に駆け込み需要があった。14年は同7・2%減の1万5426戸と一時的に落ち込んだが、15年以降は1万6千戸台で推移する。住宅1平方メートル当たりの工事費予定額は、鉄筋コンクリート造りで11年の16万8千円から18年に20万3千円まで上昇した。資材価格や人件費が高騰していることから、実際の建築単価は予定額より高い可能性があるという。

 建築単価の高騰などを背景に、今年10月の消費増税前の駆け込み需要は14年の引き上げ時より小幅になると分析する。NIACは「13年以降は高水準の着工戸数が続いており、供給過剰感が高まっていることや、金融機関の融資審査が厳しくなっていることなどから、住宅着工戸数は調整局面に入り弱含む可能性が高い」としている。

 18年の住宅着工戸数を県内の地域別で見ると、那覇市を含む南部圏域は前年比5・6%減の7273戸となる一方で、宮古圏域は同2・9倍の2117戸、八重山圏域は同47・3%増の968戸となった。宮古圏域では貸家が同2・9倍の1843戸と大きく伸びており、NIACは「ホテル従業員や建設作業員が増加して17年以降に貸家が急増している。地元の不動産事業者によると空き室がなく、需要に供給が追いつかない状況が続いているようだ」と指摘した。

 リポートは国土交通省の住宅着工統計などをもとに、NIACが県内の状況や分析結果をまとめた。