オリオンビール新CMOの吹田龍平太氏 沖縄の良さ生かし県外市場狙う ゴディバやダイソンでの手腕生かす


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オリオンビールへの意気込みを語った専務執行役員CMOの吹田龍平太氏(右)と常務執行役員CFOの亀田浩氏=4日、那覇市泉崎の琉球新報社

 オリオンビール(浦添市)の専務執行役員CMO(最高マーケティング責任者)に就任した吹田龍平太氏(52)と、取締役兼常務執行役員CFO(最高財務責任者)に就いた亀田浩氏(57)が4日、琉球新報社を訪れ、オリオンビールの全国シェア拡大など意気込みを語った。1日の組織改編で誕生したマーケティング本部の本部長を務める吹田氏は、ゴディバチョコレートなどで商品企画開発を手掛けた実績を生かし、新体制となったオリオンビールのブランド戦略などを担う。

 オリオンは今年1月、野村キャピタル・パートナーズとカーライルによる株式公開買い付けを受け入れる方針を決めた。3月に買い付けが成立し、野村とカーライルが設立したオーシャン・ホールディングスの子会社となった。

 外部から登用する代表取締役兼社長執行役員CEO(最高経営責任者)が月内に発表される予定で、吹田氏は「新しい社長が新しい価値観を打ち出してくる。それに合わせて沖縄の良さを外に分かってもらえるよう取り組む」と述べた。

 吹田氏はコカ・コーラジャパンや洋酒販売のMHDモエヘネシーディアジオ、家電のダイソンジャパンでマーケティングを担当した。09年からゴディバジャパン、15年からロンドンのゴディバチョコレート本社で商品企画開発部門の責任者として携わった。

 吹田氏は「県内シェアの拡大に注力するより、県外シェアの1%を獲得した方が会社の売り上げは2倍になる。輸送費などのコストはかかるが県外の市場は大きい」と述べ、国内ビール市場でオリオンの消費拡大に力を入れていく方向性を強調した。

 その上で「全国でも有名なトップブランドのビールに対抗する必要はなく、沖縄の良さをアピールできる商品を作りたい」と独自性で国内大手のニッチ(隙間)を狙う戦略を示した。世界的にもビール市場が伸び悩む中、クラフトビール市場は伸びているとして「オリオンビールは県外でもブランド力や知名度はある。沖縄旅行では飲むが地元に帰ると飲まない。もっとプレミアムで良いものを出せば、東京などの嗜好(しこう)にも合う」と分析した。