「安倍政権が改憲を目指す中、私の当選はある意味タイムリー」沖縄選挙区で初当選・高良鉄美氏インタビュー


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インタビューで基地問題や沖縄振興などへの意気込みを語る高良鉄美氏=22日午前、那覇市泉崎の琉球新報社

 琉球新報は22日、参院選沖縄選挙区で初当選を果たした高良鉄美氏(65)=無所属・新=を那覇市泉崎の本社に招き、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題などの対応についてインタビューした。聞き手は松元剛編集局長。

 ―当選から一夜明けての心境を聞きたい。

 「オール沖縄の代表で選挙戦を戦ったがほっとした。平和の一議席を糸数慶子氏の力でずっと孤軍奮闘しながら守ってきた。大事な一議席を国政に持って行けることに責任を感じている」

 ―憲法学者としての初議席。国政に臨む気持ちは。

 「憲法の理念構造をしっかりつかまないで改憲を言うのは問題だ。安倍政権が改憲を目指す中、私の当選はある意味タイムリーだ。国会での論戦を通じて国民に憲法の意味を普及させたい。改憲論者に憲法がどのようなものかを訴えたい」

 ―勝因についてどう考えるか。

 「辺野古に対する民意が大きい。労組、政党、保守層、経済界も従来の市民運動に加えて沖縄の誇りを懸けてまとまったことが最大の勝因だ」

 ―新基地建設をどう阻止するか。

 「辺野古に投与されている金は税金だ。それを国民に訴える。超軟弱地盤もある。工期や費用も見通せない中、主権者の税金をこのような形で使っていいのかと訴えたい」

 ―国会での活動は伊波洋一氏と同じ会派に入るのか。

 「平和の一議席を受け継いだ。伊波氏と同じ会派に入る」

松元剛編集局長

 ―日米安保体制に対する見解は。

 「破棄は現実的でないことは確かだが地位協定は全面改定が必要だ。安保や地位協定は主権が行使できているかどうかの問題で、日本は不平等な状態だ」

 ―多国間安保の議論が少なくなったが、安保はどのような在り方が望ましいと考えるか。

 「日米安保の捉え方では中国などと対立する。軍事的な安保ではなく、平和外交でアジアの安全保障を積極的につくるべきだ」

 ―子どもの貧困解消に向けた方策は。

 「児童相談所の問題、支援員の待遇の問題、子どもの居場所の問題を制度として確立していくことが大事だ。貧困問題は親の問題でもある。親の所得を増やすことも求められる。総合的な児童福祉法のような形で制度設計していきたい」

 ―次期沖縄振興計画の在り方はどう考えるか。

 「ハードの整備だけで県外企業に利益が流れる仕組みを変え、県内企業に還元される持続可能な形で振興計画にすべきだ」

 ―自立型経済構築についてはどう考えるか。

 「国からの補助金頼みの社会構造が長年あった。ものづくりの現場を6次産業化に向けて育成していく。地産地消を含めて農業と観光業との一体化を図る。人口もたくさんいる中国からの観光客のリピーターを増やす戦略を立てる。沖縄の特性を生かした経済振興は日本全体にも利益になることを訴えたい」

 ―参院議員に就任して最初に取り組みたいことは。

 「国会議員を招き沖縄の問題の経緯、歴史を学ぶ勉強会を開きたい。県民は単に辺野古に反対しているのではなく経緯があって反対している。国会で議論が広がることで全国的な問題となる」