日韓関係の悪化が民間分野の交流にも飛び火する中で、沖縄県文化観光スポーツ部は25日、6月の入域観光客数発表の席で「今後の動向に留意する必要がある」と沖縄観光への影響を警戒した。琉球新報による航空会社や旅行社への取材では、7月以降の韓国―沖縄路線の予約が例年より10%ほど低くなっているほか、個人旅行の受け入れで半分近いキャンセルが出た旅行社もあるなど、今月上旬ごろから影響が出ているとの見方が広がっている。
日本政府が1日に半導体材料の韓国向け輸出規制強化を発表したことで、韓国内では一部で日本製品の不買行動が叫ばれるなど反発が起きている。韓国の格安航空会社(LCC)ティーウェイ航空は17日以降、佐賀、熊本、大分、関空の4空港と釜山などを結ぶ路線の一部運休を発表した。
県内路線の運休はまだないが、予約の鈍さやキャンセルの発生が起きている。
大韓航空では7~8月の沖縄関係路線の予約は例年より10%ほど減っている。韓国の連休にあたる9月12~15日の予約も鈍いという。大韓航空の山口泰弘沖縄支店長は「日本の旅行商品を買わないという人も出ているようだ。右肩上がりになる時期の10月の予約も停滞している」と話した。
アシアナ航空の県内の7月の搭乗率は、例年約80%で推移するが今年は72%と若干の落ち込みがある。同社の担当者は「今のところ大きな打撃はないが9月以降の新規の予約に影響が出るだろう。日韓関係で何か起きる度に影響がある」と述べた。
韓国人客などを受け入れる旅行業のハンスアドベンチャー(那覇市)は、個人旅行のキャンセルが全体の半分近く出た。10、11月に入っていた予約にも影響が出ている。団体予約も人数が集まらず、担当者は「新規の予約が発生しない」と話した。
6月の県内入域観光客数のうち、韓国からの観光客は前年同月比3.6%(1700人)減の4万5200人となった。ただ、日本政府の輸出規制は7月に入ってからなので、県は6月の減少について日韓関係悪化の影響は否定する。
韓国人観光客は今年に入り1月以外は前年同月比で減少して推移している。県は「韓中関係の改善で中国への渡航需要が回復し、ベトナム人気など渡航先の多様化で前年を下回っている」と分析する。
2018年度は国・地域別で台湾、中国に次ぐ3番目の55万3800人が、韓国から沖縄を訪れた。7月は韓国から沖縄への航空路線が67便から73便へと拡充されたところでもあり、県の平敷達也観光政策課長は「日韓関係悪化の影響が懸念される」と語った。