モラルの問題… 公共の場に堂々と迷惑駐車 駅のロータリーを占拠 通勤や子どもの迎えに利用か 長時間駐車で支障も


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(上)おもろまち駅東口の「タクシー専用待機場」のロータリーに迷惑駐車する一般車両。最大で8台に(下)迷惑駐車の車両に警告シールを貼る那覇市の職員(右)=7月29日、那覇市真嘉比

 「モノレールおもろまち駅のタクシー専用待機場(交通広場)で、一般車両の迷惑駐車が横行している」。7月、琉球新報に個人タクシーの運転手から電話で情報が寄せられた。記者は運転手と共に現場へ向かった。そこには市の「駐車禁止」の看板があるにもかかわらず、複数台の一般車両が駐車している光景が広がっていた。運転手は「公共の場に一般車両が無断で駐車するのはどうなのか」と怒りをあらわに。7月某日、記者は現場となった「おもろまち駅交通広場(真嘉比側)」で半日取材をして実態を探った。

 市真嘉比の交通広場はモノレールおもろまち駅の東口にあり、中央は「タクシー専用待機場」のスペースが4台分確保されている。周囲はぐるりと1周できるロータリーになっているが一般車両の迷惑駐車が後を絶たず、ロータリーを走行する車が通りにくくなっている。

 記者は午前8時半すぎに現場に到着。中央の「タクシー専用待機場」には那覇市道路管理課がカラーコーンを置き、一般車両の駐車を防止していた。しかし、ロータリーには既に4台の一般車両が駐車をしている。午前10時にはこの日最多となる計8台に増えた。

 午後0時半ごろ、1人の男性が戻ってきた。「ここは市の駐車禁止の看板が立ってますが」と直撃すると、男性は「いや、特に…」と述べ、ばつが悪そうな表情で車に乗って去った。

 その後も取材を続けると、1人の女性が戻ってきた。30代の女性会社員は「通勤のために止めた。車があると子どもを保育所に迎えに行きやすいから。でも、自己都合ですよね…」と視線を落とし、近くのコインパーキングを探すとして車を移動させた。

 モノレールを利用する妻の送迎で、週に3回ほど交通広場に来る70代の男性は「長時間駐車する人がいてロータリーが走行しづらく迷惑している。行政はなんとかしてほしい」と改善を求めた。

 この日、交通広場を管理する那覇市道路管理課の職員2人が見回りに訪れた。職員は「違反」と書かれた赤い警告シールを迷惑車両のフロントガラスに貼り、県警に通報をした。

 到着した警察官は道路交通法に基づき、ロータリーに入って右側に止められていた2台を「放置車両違反(右側駐車)」として取り締まった。しかし進行方向に当たる左側に駐車した車両については、取り締まることはできなかった。

 それはなぜか。県警交通指導課はその理由について「現場に公安委員会の駐車禁止標識がないため、道交法を適用できない」と説明。進行方向と逆方向になる右側での駐車は単純に道交法違反に問えるが、道交法に基づかない市の駐車禁止標識を設置しても「公安の規制がなく、法定違反にも該当しなければ取り締まれない」とする。

 道路問題などに詳しい琉球大学工学部の神谷大介准教授(土木計画学)は「道交法を適用することが抜本的解決につながるが、何らかの理由でそれが難しいのであれば、ロータリーの道幅を狭くして駐車できないようにするか、有料駐車場化する方法もあるのでは」と提案した。

 市道路管理課は、迷惑駐車を道交法で取り締まれるよう県警と協議を続けていくとした。一方で、市の担当者の一人は「そもそも一般車が公共の場に堂々と止めるのはモラルの問題では…」とあきれ顔を見せた。
 (照屋大哲)