SDGsで県民参加型会議設置へ 沖縄県の万国委津梁会議 年内開催で調整


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
「沖縄らしいSDGs」について協議する万国津梁会議の委員ら=6日、那覇市内のホテル

 沖縄県が設置した万国津梁(しんりょう)会議は6日、持続可能な社会の実現を目指す「SDGs(エスディージーズ)についての初会合を開き、幅広い県民や関係者が参加する「県民円卓会議」を設けることを決めた。年内開催に向けて調整を進める。

 万国津梁会議は、沖縄21世紀ビジョンの将来像の実現に向け、有識者から意見を聴くため、玉城デニー知事が設置した。SDGsに関する同会議では、2030年までに持続可能な社会を目指す国際目標のSDGsを県内で進めるための方策を話し合う。6日は「沖縄らしいSDGs」について意見を交わした。

 沖縄キリスト教学院大の玉城直美准教授は、琉球文化や言語の復活を挙げた。またラオスで地雷撤去の独自目標を設定していることに触れ、沖縄に関する県独自の目標を設定することも提起した。慶応義塾大大学院の蟹江憲史教授は海洋プラスチックごみや貧困対策、金沢工業大の平本督太郎准教授・SDGs推進センター長は離島、観光、平和といったテーマを挙げた。

 琉球大の島袋純教授は人々が尊厳を持って生活できる「人間の安全保障」を国・県内の多様な主体との交流と多文化共生社会によって実現することを「沖縄らしいSDGs」と位置付けた。さらに県民が優先すべき課題を明らかにするため、広く県民・関係者が参加して話し合う「県民円卓会議」の開催を提案した。

 蟹江教授は「『SDGs民主主義』を実践し、横断的なアイデアを出して、それに銀行もお金をつければみんなやる気も出てつながってくるのではないか」と賛同し、民間のアイデアで外から行政を変えていくことが必要だと提言した。

 平本准教授は、自身が務める金沢工業大学で学生らが隣接自治体で地元の人々の声を聴いて事業の企画立案、有効性の実証、自治体への提案、継続的な取り組みをしていると紹介。「『県民円卓会議』も議論だけではなく主体的に活動していく仕組みづくりが大事では」と指摘した。

 SDGsは2015年に国連で採択された。貧困、教育、環境、平等の実現など17の目標と169のターゲットが定められており、日本政府も推進している。