セレッソ大阪に移籍の鈴木孝司が語るFC琉球への思い


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J1のセレッソ大阪へ移籍が決まり、琉球サポーターらへの感謝の言葉を述べた鈴木孝司=13日午前、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 FC琉球が誇るゴールゲッターの鈴木孝司(30)がJ1のセレッソ大阪へ移籍を決断した。琉球への加入前は大けがが相次ぎ、選手生命が危ぶまれた時期もあった。だが並々ならぬ覚悟で新天地に臨み、再び大輪の花を咲かせて見せた。13日、各社の取材に応じ「琉球はサッカーのことが好きな自分を、再び思い出させてくれた」と言葉を詰まらせながら、感謝の思いを募らせた。幼い頃から夢見た最高峰の舞台へ、30歳の遅咲きストライカーの挑戦が始まる。

 法政大を卒業後、2012年からJ2のFC町田ゼルビアでプロデビューを果たした。JFLに降格した13年は15得点を挙げ、J3に参入した14年は19得点で初代得点王に輝いた。15年も高い決定力を見せ、チームをJ2再昇格に導いた。

 順風満帆だったが、16年8月に左アキレスけんを損傷する大けがを負った。その後、回復を果たすが、再び左アキレスけんを断裂し、昨季に契約満了の通告を受けた。事実上の「クビ」だった。

 「サッカー生活が終わってしまうんじゃないか。引退まで考えていた」。前線を退くことも考えていたが、琉球で合同トライアウトを受ける機会を得た。「全力で戦ってきて、全て出し切った」と並々ならぬ覚悟で練習に参加し、すぐに結果は付いてきた。1月に加入が発表され、開幕から6試合で8得点を挙げ、2・3月のMVP賞を獲得。現在は15ゴールでJ2得点ランキング2位につける。圧倒的な決定力を披露し「コージ」コールで何度もサポーターたちを沸かせた。

 8カ月弱の沖縄での生活を経て「今の自分もチームがあるのも、変わらず応援してくれるサポーターのおかげだ」と感謝の言葉は尽きない。「より高いステージでどれだけ通用するのか。確かめたい」と力強く、言い切って見せた。