韓国航空の便数半減、沖縄観光に打撃 ホテルやツアーキャンセル続く 旅行関係者に危機感広がる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
日韓関係悪化を受けて、空港で開かれた観光客歓迎イベント=8月1日、那覇空港国際線ターミナルビル(OCVB提供)

 2018年度は台湾、中国に次ぐ3番目の55万3800人が沖縄を訪れた韓国人観光客だが、日韓関係の悪化に伴い県内の旅行社やホテルにも予約キャンセルが続いている。訪日の取りやめにより航空路線の収益力が低下。沖縄からソウル、釜山、大邱の3地域へ週70便まで拡大した航空路線は、週35便前後まで減少する見込み。韓国からの観光客は秋口から冬場に掛けて多くが訪れており、観光関係者は「沖縄観光に打撃を与える」と先行きに危機感を募らせている。

 沖縄ツーリスト(OTS)では7月末から、韓国から沖縄を訪れる団体客のキャンセルが出ており、個人客の落ち込みも見られるという。減便の影響で沖縄発の韓国ツアーが中止になることも見込まれる。

 OTSの平良健社長は「航空路線が運航しないとツアーの開催が難しくなる。今回は風評被害による減便ではないので、路線が再開したら韓国からの観光客も戻ってくるはずだ」との考えを示した。OTSのレンタカー事業には現時点で大きな影響はないが、今後の動向を注視する。OTSマーケティング戦略本部長の安部潤氏は「日韓関係がどのようになるか現状では読めない。こんな時期だからこそ、韓国をはじめ国内外から沖縄を訪れるお客さまを最大限にもてなす必要がある」と強調した。

 外国人客の宿泊が多いレッドプラネット那覇沖縄では、この2~3週間で9、10月の予約キャンセルが出ている。山田尚那覇支配人は「団体客を取っていなかったため大きな影響がなかったのが幸いだ。航空便がなくなったため、キャンセルせざるを得ないという声が多かった」と話した。

 別の那覇市内のホテルでは韓国客が約9割減少したといい、担当者は「韓国側で日本旅行に行きにくい雰囲気があると聞いている。事態が早く収束してほしい」と肩を落とした。

 沖縄観光総研の宮島潤一代表は、中国や台湾と並んで沖縄を訪れる韓国客の減少で、ホテルや飲食業、レンタカーなど幅広い業種が影響を受ける可能性を指摘。「政治的な対立が沖縄の経済状況にも影を落としている」と懸念した。
 (中村優希、平安太一)