埋め立て承認の再撤回できるか不透明 加藤裕氏(弁護士) 県民投票シンポジウム詳報


社会
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 辺野古の基地建設に絞ってシングルイシュー(一つの争点)できちんと民意を示し、民主主義について議論するという意味で県民投票は意味があった。県による埋め立て承認撤回の後に実施されたので、その結果は撤回理由に入っていない。訴訟では現時点で撤回理由として主張していない。ただ、長くかかる可能性もある訴訟なので、今後どう主張に盛り込んでいくかは考えていくことになるだろう。

 埋め立て承認の再撤回について専門家でも議論が分かれている。さまざまな議論を深めなければならない。県は自らの撤回が有効だという立場だ。その一方で、自らの処分の効力がなくなったことを前提にした再撤回ができるか。その点が議論の対象になる。

 仮に進行中の訴訟で国側の主張が認められた後なら、もう一度、別の理由で撤回することは理論上できる。ただ、政治的に可能かどうかも考えなければならない。さらに県民投票のみで公益上の撤回ができるかどうかは裁判例がなく、別の問題だ。