空調設備に民間資金 みらい2号館 名護市、PFI採用


社会
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空調設備をPFI方式で更新した「みらい2号館」=23日、名護市豊原

 名護市が2005年に整備した企業集積施設「みらい2号館」(名護市豊原)の空調設備の更新で、公共施設の建設や管理に民間の資金やノウハウを導入するPFI(プライベイト・ファイナンス・イニシアティブ)方式が採用された。みらい2号館はサーバー室を有し大規模な空調を必要とすることから、更新には数億円の費用を要した。行政の初期費用の負担を軽減するため、民間の特別目的会社が資金を調達し、名護市に賃貸する形で設備を導入した。建物本体ではなく付帯設備に対するPFIは全国的にも珍しく、今後の展開も期待される。

 不動産や動産のファンド事業を手掛けるエステックアセットマネジメント(名護市、芝垣知明社長)が、自治体向け付帯設備等の賃貸事業へ投資運用するファンドを組成した。特別目的会社の「アセットファイナンス動産沖縄合同会社」はファンドの出資と沖縄銀行の融資を受けて空調設備を更新した。貸与を受ける名護市は10~15年かけて賃借料を支払う。

 市町村が建設する構造物などと違い、付帯設備などの更新時には地方債の起債ができず、これまで自治体は単年度予算で更新してきた。民間資本を活用するPFI方式について名護市の担当者は「初期費用の財政負担を軽減し、毎年の賃借料として平準化できることが大きなメリットだ。合計のコストも約2割軽減できる」と話した。

 芝垣社長は「公共施設の付帯設備の更新には大きな潜在的資金需要がある。県内のほとんどの自治体に同様の提案をしており、今回前例ができたことは大きな意味がある」と話した。

 自治体を相手にした事業で信用性が高いことから、ローリスクローリターンの運用を求める投資家から評価されているという。

 沖縄銀行は合同会社に対し無担保・無保証で融資し、事業収益から返済を受けるプロジェクトファイナンスの手法で関わった。法人事業部の仲村元彰上席調査役は「例えば消防車などの公的な動産にも適用できる可能性がある。新たなスキームで、今後他の自治体にも展開していけると思う」と話した。