夫婦別姓、地方から実現訴え 法制化目指し、全国で陳情アクション 沖縄初、うるま市議会に請願書 姓は「アイデンティティーに関わる」


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 【うるま】「選択的夫婦別姓」制度の法制化を目指そうと、地方議会への陳情や請願が全国的に広がる中、うるま市議会(幸地政和議長)にも23日、法制化を求める意見書を国に出すよう要望する請願書が提出された。請願者の一人で「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」にも所属する眞鶴さやかさん(33)=うるま市=は「姓が変わると自分が自分でなくなる感じがする」と話し、法整備の必要性を訴えた。

「選択的夫婦別姓」についての請願書を、うるま市議会に提出する眞鶴さやかさん(中央)ら=23日、うるま市議会事務局

 同アクションから請願書が提出されたのは、県内ではうるま市議会が初めて。

 眞鶴さんは交際相手との結婚を考えるようになってから、この問題と向き合い始めた。「アイデンティティーに関わることだ」。姓を変えることに抵抗があり、現在は事実婚という形で生活を共にしている。しかし、事実婚では配偶者控除が受けられなかったり、法定相続人になれなかったりするなどの問題がある。妻の姓を名乗る「妻氏婚(つまうじこん)」という方法もあったが、相手の両親に反対された。

 妻の方が姓を変えるのが当然だとする風潮はまだ根強く残っている。「価値観が多様化する社会の中で、どちらかが姓を変えないと結婚できないのはおかしいのではないか」。眞鶴さんは立ち上がった。

 昨年末に「全国陳情アクション」に加入。今年5~7月には、うるま市議会の全6会派と勉強会の場を持った。この問題を知らなかった議員もいたというが、中には勉強会後に理解を示してくれた人もいた。しかし手応えは半々だ。

 同アクションを通じて、全国の自治体ではこれまでに22件の意見書が生まれ、国に提出されている。うるま市議会は9月定例会で、今回の請願書を審査する。眞鶴さんは「結婚を機に姓を変えたことで我慢を強いられた人たちもいる」と話す。その上で「もっと多様性が認められる社会になってほしい」と願いを込めた。