琉球新報が昨年9月の沖縄県知事選から取り組んだネット上の言説を事実検証する「ファクトチェック報道」や、フェイク(偽)情報の発信源を追った連載などを収めた「琉球新報が挑んだファクトチェック・フェイク監視」(琉球新報編集局編著)が高文研(東京)から出版される。9月中旬にも県内書店に並ぶ予定。
昨年9月の県知事選から今年2月の米軍普天間飛行場の辺野古移設に伴う名護市辺野古新基地建設の賛否を問う「県民投票」までの間、琉球新報で掲載された48本の記事を時系列で並べて収録。ネット上の誤った情報を検証するファクトチェック報道や、ツイッター(短文投稿サイト)の発信を分析する記事を加筆、再構成している。
また、過去に流れた沖縄に関する誤った情報を類型化し、検証した結果なども盛り込んでいる。新年から始まった連載「沖縄フェイクを追う」は調査報道で発信源を丹念に追い、偽情報を流すサイト運営者の実態をあぶり出した。
琉球新報のファクトチェック報道は、地方紙としては初めての取り組みとみられ、平和・協同ジャーナリスト基金(PCJF)賞や新聞労連ジャーナリズム大賞などを受賞した。琉球新報の松元剛編集局長は本著で「フェイクが民主主義の根幹を支える選挙の場に持ち込まれ、過剰な中傷や偏見が跋扈(ばっこ)するようになると、分断を仕向けられた有権者の政治への関心さえ奪いかねない」として、今後もファクトチェック報道を続けていく考えを示した。
定価1600円(税別)。問い合わせは琉球新報社読者事業局出版部(電話)098(865)5100。