無許可宿泊施設が急増 沖縄県内2018年度70件、3年で3・7倍 近隣トラブルで発覚も


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 県内で宿泊施設の無許可営業の認知件数が急増している。2018年度に県の5保健所(北部、中部、南部、宮古、八重山)が認知した合計は70件で、15年度の19件と比較して約3・7倍となった。那覇市保健所では18年度に無許可営業の宿泊施設に対して42件の営業停止等措置を出した。騒音の通報など近隣とのトラブルから無許可営業が発覚する事例もあり、認知件数の増加につながっている。

 無許可営業の認知件数を保健所別に見ると、恩納村や北谷町などの人気観光地を抱える県中部保健所の57件が最多、15年度の10件の5・7倍に上った。このほか南部が8件、八重山が4件だった。那覇市では営業停止措置が16年度37件、17年度40件で推移する。18年度は宿泊施設からの騒音やゴミ出しのトラブルに関する苦情も133件あった。

 県内では15年ごろから、個人の住宅やアパート、マンションの空き室に観光客を有料で泊める「民泊」が広がりを見せた。観光客の増加と合わせて住宅地や集落の中で宿泊営業する物件が見られるようになり、地域の住環境の悪化や安全に対する懸念も新たな問題となっている。

 県衛生薬務課によると、全国で民泊を解禁した18年の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行で無許可・無届けの民泊が違法であることが周知され、保健所などに通報が行くケースが多くなった。通報などで無許可営業が発覚した場合は文書などで指導するほか、許可や届け出があってもトラブルが起きていれば適正な営業を求めている。

 数軒の宿泊施設が立地する本部町内の集落で取材したところ、住民は「外国人客が夜中までお酒を飲んで騒いでいる」と生活環境の変化を訴えた。恩納村内でも外国客を受け入れる宿泊施設が増え、地域住民は「レンタカーがたくさん乗り入れて、事故が起こりそうな事態も増えた」と懸念した。

 住民が我慢をして注意や通報を行わないこともあり、表面化しないトラブルも多く存在しているという。県内の観光関係者は「観光客が増えすぎて住民生活に影響を及ぼすオーバーツーリズムが各地で起き始めている」と指摘した。

(平安太一)