会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・玻名城泰山琉球新報社長)の9月例会が11日、那覇市の沖縄ハーバービューホテルで開催され、国際ジャーナリストの堤未果氏が「日本が売られる~未来を選ぶ自由を守れ~」と題して講演した。堤氏は「日米関係の情報分析は第1次産業が一番リアルに表れるところだ」と述べ、「食」から見える日米関係の舞台裏について語った。
堤氏は米国が世界戦略の一つとして農産品の輸出を強化していることを説明。途上国や災害のあった国への支援として、遺伝子組み換えをした大豆やトウモロコシの種と農薬をセットで売っている現状があることを指摘した。8月の日米首脳会談では、日本が米国産トウモロコシ約250万トンを追加輸入する方針も打ち出した背景を語った。
2005年から米国ではトウモロコシを石油に一定量混ぜる決まりがあり、バイオエタノールの原料をつくる農家への補助金が増えている。一方で、燃費が悪くなるため、石油業界からクレームが上がっているという。堤氏は大統領選を控える中、農家と石油業界との板挟みとなったトランプ米大統領が支持を得る策として、日本への輸出があると分析した。
堤氏は18年前の9月11日に起きた米国多発テロの際に、航空機が墜落した世界貿易センタービルの近くにあった野村証券のビルで勤務していた経験がある。テロ事件の後、米国でテレビや新聞で交戦論が高まり、インターネットでも情報統制があったことに触れつつ「自由の国アメリカに憧れていたのですごくショックだった。自分で情報を探しにいかないといけないと思った」とジャーナリストに転身した経緯も語った。