社民党の政党要件、比例議席に影響も 照屋寛徳衆院議員が引退意向 後継選びに党中央も注視


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社民党の常任幹事会に臨む照屋寛徳衆院議員(左から2人目)と、又市征治党首(右端)ら=19日、東京

 【東京】社民党の照屋寛徳衆院議員(74)が引退の意向を表明したことを受けて社民党中央でも不安の声が上がっている。国会議員が衆参合わせて4人にとどまる社民にとって、6期連続当選と強みを発揮してきた照屋氏の存在は大きく、その引退は党の浮沈にも直結しかねない影響力を持つ。議論が活発化する後継者選びの動向を党中央も注視している。

 「残念だという思いもないとは言えない。複雑だ」。社民党の又市征治党首は、照屋氏が引退の意向を伝えた19日の党常任幹事会後の会見で、照屋氏の労をねぎらいながらも複雑な心境を吐露した。背景には社民党を取り巻く厳しい環境がある。

 社民は現在、衆参それぞれ2議席を確保するが、選挙区を勝ち抜いてきたのは照屋氏ただ1人だ。

 衆院側の2氏は照屋氏と大分県の吉川元氏で、共に九州・沖縄の当選者で占める。社民は前回衆院選時、沖縄で比例票を7万票積み上げて、選挙区で落選した吉川氏の比例九州ブロックでの復活当選につなげた経緯がある。

 知名度が高く保守層にも食い込む照屋氏の不在が次期衆院選に響けば、比例議席の獲得や、得票率2%以上が必要となる政党要件の維持をも左右する深刻な問題となり得る。

 党幹部は19日に開かれた会議で、全国の担当者に「重大に受け止めてほしい」とハッパを掛けた。

 照屋氏の後継を巡っては北中城村長の新垣邦男氏を軸に調整が進む。

 だが、8月後半には、7月の参院選比例代表に出馬し、落選した前県議の仲村未央氏の後援会が又市党首あてに、仲村氏を国政選挙の候補にするよう求める文書を出すなどさや当ても見られる。

 又市党首は19日の会見で後継選びについて「(党と照屋氏後援会の)連携は密にしてほしい」と話した。党幹部は「社民党はボトムアップの党だ。地元の判断を見守る」と述べ、党本部は深く関与せず地元の合意形成を見守る姿勢を示した。
(知念征尚)